経営の健全性・効率性について
経常収支比率に関しては、おおむね100%以上を保っているが、平成29年度より右肩下がり傾向となっている。累積欠損金比率に関しては、0%となっており、累積欠損金が発生していない状況である。また、流動比率に関しては、100%以上を確保しており、短期的な債務に対する支払い能力は確保できている。企業債残高対給水収益比率に関しては、明確な数値基準はないとされているが、類似団体平均値と比較すると料金収入の規模に対しては企業債残高がやや多い水準にあるといえる。このため、料金水準または投資規模が適切であるか、検討する必要がある。料金回収率に関しては、類似団体と同等水準で水位してきたが、令和2年度と3年度は新型コロナウィルス対策の一環として基本料金の減免措置を講じたことによる一般会計からの繰り入れがあったことにより100%を下回っている。給水原価に関しては、明確な数値基準は無いものとされているが、類似団体と比べると低くなっており、一般的には良い傾向である。施設利用率についても明確な数値基準は無いとされているが、類似団体と比べて高くなっており、一般的には良い傾向である。有収率は類似団体と比べても低くなっており、このことは収益に結びつかない施設の稼働が常態化しており、その分の動力費や修繕費等の経費が嵩んでいることを示唆している。主な原因としては漏水が考えられることから、老朽化した管路の耐震管への布設替を計画的に進めていくことが極めて重要である。そのことから、平成29年度において管路更新計画を作成しており、計画的に管路更新をしていく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率および管路経年化率に関しては、明確な数値基準が無いとされているが、類似団体と比較するとやや高い水準にあり、管路を含む有形固定資産の老朽化が進みつつあることを示唆している。管路更新率については、年度によってバラつきが見られる。これは、施設整備に重点を置く年度は管路更新率が減少傾向となるためである。経営が厳しい中ではあるが老朽管の布設替を行うことにより、老朽化の解消と有収率の向上を図っていきたい。
全体総括
全体的な総括としては、現状では経営の健全性は確保されていると判断できるが、施設・管路の老朽化が進行しつつあり、有収率についても低い状況となっている。このため、料金水準の見直しも視野に入れつつ、計画的な管路・施設の更新を行っていくようにする必要がある。