経営の状況について
○経常収支比率、営業収支比率令和3年度は前年度と比べて水力発電所の電力量が上昇したことなどにより、経常収支比率が前年度比10.1%増加、営業収支比率は11.2%増加となり、継続して100%を超えており、経営の健全性は確保されている。○流動比率令和3年度は、前年度に比べ1675.3%高くなっている。これは主に、未払金及び未払費用の減により流動負債が減少したことによる。○供給原価、EBITDA(減価償却前営業利益)供給原価は継続して全国平均値よりも低く抑えられており、またEBITDAは全国平均値を大きく上回っていることなどから、事業は適正なコストにより安定して経営されている。
経営のリスクについて
○施設全体本県の電気事業は、昭和33年から発電を開始しており、有形固定資産減価償却率は全国平均値と比べても高い状況にあるため、計画的な設備更新を行っていく必要がある。企業債残高対料金収入比率は、著しく低い水準であり、経営の健全性は良好である。○水力発電修繕費比率は上昇傾向にあり、修繕費比率及び有形固定資産減価償却率は全国平均値と比べても高い状況であるため、計画的な設備更新が必要である。制度改正したFITを活用し、老朽化した既存発電所のリニューアル(全設備更新)に取り組んでいく。○ごみ発電高崎市高浜クリーンセンターの建替により令和6年度中には発電用の蒸気の供給が終了する予定であり、廃止に向けた対応を進める必要がある。○太陽光発電有形固定資産減価償却率は、全国平均値を上回るものの電気事業の中で最も低くなっている。FIT収入割合は100%であり、FIT適用満了後は、買取単価が下落し、収入が減少するリスクが想定される。
全体総括
本県の電気事業は、安定的に収益を確保している上、流動比率が高く、経営の健全性は良好である。今後は、老朽化した発電所の更新などに取り組み、電力の安定供給や収益力の向上、効率的な運営に努めることにより、事業を安定的に継続していく。また、再生可能エネルギーの利用拡大と地産地消の取組により2050年脱炭素社会の実現に貢献していくとともに、電力システム改革への対応として現在締結済みの長期の電力受給基本契約終了後の売買先や売電方法について、電力取引の市場動向を注視しつつ、検討する必要がある。