経営の健全性・効率性について
経常収支比率は昨年度とほぼ変わらず、100%以上を維持している。類似団体平均値が低下しているのに対し、昨年同を維持できているため、安定した経営ができていると言える。流動比率については、昨年度よりも大幅に増加した。現金等の資産増加よりも、返済する企業債の額が減ったことによる、負債の減少が大きな要因である。今後、料金収入は減少していく見込みであるため、現金等の残高については注視していく必要がある。料金回収率については昨年度よりも若干の減となったが、100%以上を維持できている。特に現年度分の料金収納率は99.5%を超え、概ね順調に回収できている。しかし逆の意味で捉えれば、人口減少に比例し給水人口も減少している中で、現状以上に数値を上げることは難しいとも言え、安定した給水収益の確保が今後の課題となる。利益を確保するために、経常費用の抑制と有収水量の向上に努める必要がある。有収率については年々減少しているが、要因としては有収水量の減少よりも、管路漏水による総配水量の増加が大きい。管路経年化率からも見て取れるように、管路の老朽化が進んでおり、昨年度同様、老朽化した管路より漏水が散見された。箇所ごとに修繕し対応しているが、根本的に布設替えが必要な箇所もあり、布設替えについては計画的に行っていく。これに伴い、管路更新率も上昇していく予定である。
老朽化の状況について
耐用年数を迎える資産が多くなってきていることに加え、管路経年化率の上昇値からも見て取れるように、施設設備及び管路については更新を検討する時期となっている。耐震化計画を策定し、老朽化による更新を含め、優先順位を定めながら重要箇所から着工していく予定である。しかし、旧簡易水道区域においては、特に人口減少が顕著であり、施設利用率が著しく低い。旧簡易水道区域にも老朽化が懸念される施設設備及び管路は多く存在するが、更新については費用対効果について十分加味する必要がある。旧簡易水道区域の今後の運用については、施設の統廃合や給水区域の見直しなど、在り方そのものの見直しや検討が必要になってくると思われる。
全体総括
単年度の収支については累積欠損金は発生しておらず、現在は健全な経営を行うことができているが、人口減少に伴う給水人口の減少が進み、料金収入は減少傾向である。今後、資金についても減少していく見込みであり、厳しい運営となっていくことが予想される。そのため、料金収入については将来的な料金改定も視野に入れながらの収支計画が必要となるが、使用者の急激な負担増とならないよう、十分な検討を行っていく。事業を運営していくうえで、必要な投資については避けられないため、更新等に係る費用は十分に精査し、綿密な計画の基、行っていく必要がある。また、給水原価の上昇を抑えるため、費用の抑制に努めるなどの経営努力を引き続き行い、現在の経営を維持できるよう努めていく。