経営の健全性・効率性について
①給水収益等で施設の維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す経常収支比率は、過去5年間すべて100%を上回っており、収支が黒字であることを示している。令和元年度は、漏水量の減少によって浄水量が減少した結果、機械の動力費や薬品費が減少となったが、収益全体の79.0%を占める給水収益が前年度比2.3%減少したことで経常収支比率が低下した。③1年以内に支払うべき債務に対して、支払うことができる現金等がいくらあるかを示す流動比率は、過去5年間、理想的な企業といわれる200%以上を優に上回っている。④給水収益に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対給水収益比率では、過去5年間で約200%を推移しており、これは毎年度の企業債残高が、年間の給水収益の約2年分であることを示している。⑤給水に係る費用(給水原価⑥)が、どの程度給水収益(供給単価)で賄えるかを示す料金回収率は、過去5年間ですべて100%以上で、給水に係る費用がすべて給水収益のみで賄われていることを示している。⑥給水原価は水道水を1㎥作るのにかかる費用のことで、過去5か年で120円から140円台を推移している。これは、類似団体の平均値192.82円を優に下回っており、費用削減等の取組による健全経営であることを示している。⑦施設利用率においては、1日の配水能力に対する平均配水量の割合であり、近年50%台を推移し上昇傾向にあったが、漏水量の減少により配水量が減少したため低下した。⑧有収率においては、近年低下傾向にあったが、直営での漏水調査の結果、漏水量の減少に繋がり有収率の向上に繋がった。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率においては、昭和50年代前半から大規模な管路整備等を行い、その時に布設した管路等が耐用年数を迎える時期となっている。③管路更新率においては、類似団体及び全国平均を上回っている。現在、道路改良工事等に併せた配水管の布設替えと、老朽化した配水管の布設替えを行っている。
全体総括
水道事業を取り巻く環境は、年々厳しさを増してきており、給水収益においては、総収益は平成30年度では増加したものの近年減少傾向にある。令和元年度の経営成績は、総収益が292,008千円、総費用は269,736千円の計上となった。今後は、給水人口の減少に伴う収益の減少と、過去に建設した施設等が大量に更新時期を迎えることによる改修費用の確保をどうするかという課題に直面することが予想されるため、令和2年3月に策定した新富町水道事業経営戦略(中長期的な経営の基本計画)に基づき、水道事業の健全性を維持していくことが必要である。