経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率が100%を下回っているのは、令和2年7月豪雨による下水道使用料の減免等に伴う減収が影響していることが主な要因となっている。③の流動比率は前年度と比較すると上がっているが、適正基準を下回っており安定した財政の運営が出来ているとは言えない。今後は当初整備時期の償還が進み流動負債の減少により改善が見込まれるものの、一方で令和2年7月豪雨に伴う企業債が新規で発生する。④の企業債残高対事業規模比率は類似団体平均値や全国平均よりも低くなっており、企業債の減少や下水道使用料収入の回復に伴い減少が見込まれる。⑤の経費回収率や⑥の汚水処理原価についても令和2年7月豪雨による下水道使用料の減免等に伴う減収が影響しており、今後下水道使用料収入の回復に伴い徐々にではあるが改善していくものと見込まれる。⑦の施設利用率と⑧の水洗化率についても数値の増減がみられるが、令和2年7月豪雨による一時避難等によって短期的な市内外の人口移動が継続しており、処理区域内人口と水洗便所設置済人口も一時的に数値が上がっていることが要因と予想される。正確な分析は困難であるが、おおむね人口減少によるものが大きいと考えられる。
老朽化の状況について
供用開始から35年以上経過しており、①有形固定資産減価償却率は、類似団体を上回っている。②管渠老朽化率については、耐用年数をまだ迎えていないため数値が「0」となっているが、近い将来指標が発現することは明らかであるため、策定済みのストックマネジメント計画を基に計画的・効率的に事業を進めていく必要がある。なお、令和2年7月豪雨による被災により災害復旧事業と併せてストックマネジメント事業も前倒しで進める必要が出てきたため、計画の前提条件が変わって来たことから計画自体の見直しも進めていく必要がある。
全体総括
人口減少や高齢化率の進展、地域経済活動状況など、当市を取り巻く社会情勢は大変厳しいものとなっている。さらに、令和2年7月に発生した豪雨災害による当市の下水道施設等の被害は甚大であり、災害復旧事業を最優先で進めているなか、コロナ禍も相まって非常に厳しい経営状況となっている。観光事業等の地域経済や市民の住宅事情がどこまで回復していくのか状況を把握し、災害復旧事業に伴う経費増や被災による下水道使用料の減収など経営面での問題点・課題の解決に取り組む。今後は前提条件が大きく変化したストックマネジメント計画や経営戦略の見直しも進めていくとともに、経営改善を進め経営基盤を強化し適切な維持管理を基本とした持続可能な事業運営に努める。