経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は微減である。使用料収入では必要経費を賄えず、一般会計からの繰入金で収支の均衡を図る状態である。⑤経費回収率は徐々に改善しているが、使用料収入だけでは維持管理費すら賄えていない。令和2年度は上水道の検針サイクル変更に伴い、検針期間の調整が行われたため使用料対象期間が例年より短くなっている。しかし、公共下水道においては現在も整備区域を拡大している事業であり、接続件数は年々増加していることから使用料収入は減少していない。⑥汚水処理原価は、経費回収率の向上に伴い改善がみられる。⑦施設利用率であるが、グラフ上は15.94%と10ポイント以上上昇しているようになっているが、これは決算統計値の誤りによるもので、正しくは7.56%である。供用開始区域の拡大により接続率が増加したことによる。⑧水洗化率は、⑤~⑦の指標と同様に、接続率の上昇に合せて段階的に上昇していく傾向にある。供用開始から2年経過したが、浄化槽が一定数普及している地域であるため、供用開始後の接続に瞬発力はない。今後も普及促進に努めて、使用料収入による健全な経営を目指す。
老朽化の状況について
本市公共下水道事業は、旧大内町が昭和53年から整備した雨水管渠と、平成11年度から整備を始めた汚水管渠がある。汚水管渠については現在も整備区域を拡大中であり、整備時期により老朽化の進行は差が生じる。老朽化が先に進行している雨水管渠の修繕については、マンホール鉄蓋の交換を汚水管渠布設の工事に併せて行っている。今後数年で初期整備の雨水管渠が耐用年数を迎える。汚水管渠の整備途中ではあるが、ストックマネジメント計画を策定し、処理場を含めて計画的な更新の準備が必要である。
全体総括
公共下水道・大内処理区は平成30年に供用開始したばかりで、下水道事業計画区域内の未普及区域の整備工事は今後10年程度続く予定である。供用開始済区域での接続率は毎年度上昇傾向にあるものの、未だ経費回収率は半分にも満たない。引き続き普及促進に努め、また使用料の適正な改定の検討を行っていく。使用料については、令和4年4月から15%の改定を行い、その後も4年毎に見直しを検討していくこととなっている。令和2年に策定した経営戦略においても、ストックマネジメントを策定し、計画的な更新の計画や使用料改定の計画を含む経費回収率の向上にむけたロードマップを盛り込んだものに見直しを行っていく。