経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率について、総収益、総費用とも94%台となった平成27年度を除き平成24年度から92%台で推移、平成29~30年度は実繰入額減少等により80%台となり、令和元年度は、台風19号災害に伴う復旧費の皆増により総収益の内、営業外収益が前年比約4倍の増となった結果、前年度比の収益的収支比率は約19%増となり100%を超え黒字となった。令和2年度においては、災害復旧費事業の大半を占める事業を繰越して実施、営業外収益の災害復旧費に伴う財源を資本費へ計上したことにより総収益は約40%減となったことにより、収益的収支比率は40%台となった。災害分収支を除くと依然として赤字経営が続いているのが現状である。④企業債残高対事業規模比率は、平均値、全国平均とも大幅に下回っており現在のところ適切な数値となっている。しかしながら、既設管路等における法定耐用年数が近づき老朽化してきているのが現実であるため、今後において多額の修繕費用が必要となる。このため、企業債借入も避けられないため当比率も上昇していくものと推測される。将来的な使用料金の見直しも見据え、健全経営を図っていく必要がある。⑤経費回収率は、前年度比年間有収水量1.5%増に対し汚水処理費が令和元年台風19号災害に伴う復旧(繰越)に伴い117%増となったことに起因し100%を大きく下回った。復旧費を除くとほぼ前年度並みで推移しているため、使用料で回収すべき経費はほぼ使用料で賄えている。⑥汚水処理原価は、前年度比約2倍となった。この要因は、前項⑤に示すとおり台風19号災害に伴う復旧費に起因しているものであり、年間有収水量は前年比1.5%増と大きな変動は無いため効率的な汚水処理が実施されている。⑧令和3年3月末現在の水洗化率は97.55%であり平均値、全国平均を大きく上回り安定した使用料収入が確保されている。
老朽化の状況について
①汚水管整備期間昭和61年度~令和2年度供用開始平成3年3月整備全延長59,801.32m経年管延長30年以上23,294.92m38.95%25~29年32,007.23m53.52%20~24年2,316.42m3.87%15~19年1129.45m1.90%10~14年791.90m1.32%9年以下261.40m0.44%②雨水管整備期間平成3年度~平成18年度整備全延長4,608m経年管延長30年以上118m2.56%25~29年2,060.84m44.72%20~24年1,387.74m30.12%15~19年1,041.61m22.60%10~14年0m0%
全体総括
今後における既設の汚水・雨水管及びポンプ施設は、経年劣化による老朽化や法定耐用年数を控え更新が必要となることは確実である。このため、膨大な投資を必要とし一部企業債を財源とすることは避けられず、企業債残高は再び増加に転じると予想される。このような中、令和6年4月開始予定で進めている公営企業化に向けた取り組みと並行し経営戦略の見直しや長寿命化計画(下水道ストックマネジメント)の策定等の取り組みを進めつつ健全経営を図っていく。料金収入の確保については、人口減少により現行での使用料収入の大幅な増加は見込めないため、前段に示す取り組みの中で安定した経営が図れるようシュミレーションを行い段階的な使用料金の見直しを検討していく。水洗化の取り組みについては、長野県全域で進める「水循環・資源循環のみち2015構想」の中で設定した令和12年度目標を令和4年度中に見直しを行ない、住民への周知を継続実施していく。