経営の健全性・効率性について
①経常収支比率100%以上を維持し類似団体平均値、全国平均とも上回り安定した経営が図られており前年比2.3%増となった。これは、経常収益が前年度比0.4%減に対し、経常費用が2.6%減となったことに起因する。経常収益について、9割以上を占める水道料金は、近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測され約1.5%減となった。一方、経常費用について、受託工事費、減価償却費等合わせて約10%増、企業債利息が約23%減となったことにより全体で約13%減となったことが主な要因である。③令和元年度の流動資産は老朽管等の布設替え等の投資を抑えたため現金預金は約6%の増、対し流動負債は企業債の減少により約14%減となったことにより流動比率は前年度比約23%増となった。依然として平均値、全国平均とも大きく上回る状態が続いている。しかしながら、今後は老朽化した配水池や配水管、導水管等の多額の投資を予定しているため減少傾向に転じていくと予想される。④給水収益は前年度比約1.5%減とほぼ前年度並みに対し、企業債現在残高が22%減となったことにより企業債残高対給水収益比率は約21%減となった。給水収益がほぼ横ばいに対し、現時点で大規模投資が無いため企業債残高が減少し続けることに伴い比例し緩やかに減少傾向で推移している。しかしながら、今後予定している既設施設の更新に伴う多額の企業債借入れは避けられないため、増加に転じると予想される。⑤料金回収率は前年比約3%増となり、依然として平均値、全国平均とも上回っており適切な料金収入の確保が図られている。増の主な要因は給水収益が前年比1.5%減に対し、主に経常費用が前年比2.6%減、受託工事費が約97%増となったことに起因する。給水収益の減について、経常収益の9割以上を占める水道料金が近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される。一方、経常費用の減について、①で示したとおり受託工事費、給与費、減価償却費を合わせ約10%増に対し、企業債利息が約23%減となったことが主な要因である。⑥給水原価は、平均値、全国平均とも下回り、前年比2.9%の減となった。これは、年間総有収水量が前年比1.3%減に対し、主に経常費用が前年比2.6%減となったことに起因する。年間総有収水量の減については、近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される一方、経常費用の減については、①⑤に示すとおり減価償却費、企業債利息の減が要因である。⑦施設利用率は前年度比1.2%減となった。年間総配水量が前年度比1.2%減となったことに起因し依然として平均値、全国平均を下回っている。現認可の計画給水人口と計画1日最大給水量に比し計画時の約70%程度まで減少していることが主な要因である。⑧令和2年3月末現在の有収率は84.19%で前年比0.3%の減となった。これは、年間総配水量前年比0.9%減に対し、年間総有収水量が前年比1.3%減となったことに起因する。年間総有収水量の減については、近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される。一方、年間総配水量に大幅な変動がないことに対し、年間総無収水量は前年比1%増、前々年度比14%増となった。この要因として、営業費用修繕費は前年度比約11%増となり修繕箇所が年々増加していることや漏水不明箇所の増加が影響しているものと推測される。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は前年度比0.2%減となったが平均値、全国平均ともに上回っている。配水・浄水施設、管路とも老朽化が進んできている。②管路経年化率は平均値、全国平均ともに上回っている。配水管は計画的に更新できている一方導水管の更新ができていないのが現状である。なお、当該値の記載がないため次のとおり修正する。H27(5.94→22.05)・H28(0.00→22.27)・H29(0.00→23.71)・H30(0.00→26.25)・R01(0.00→27.68)③管路更新率は全国平均を下回っている。令和2年度から予定している、老朽化した既設配水池に代わる新配水池の更新事業に伴う多額投資を優先し、管渠更新を先送りしていることに起因している。なお、当該値の記載がないため次のとおり修正する。H27(0.99→0.09)・H28(0.00→0.53)・H29(0.00→0.29)・H30(0.00→0.47)・R01(0.00→0.14)
全体総括
今後において、耐用経年管や老朽化した配水池、浄水施設等の更新や新たな水源の確保を予定し膨大な投資が必要となる。財源確保のため日頃から経費節減に努めていくところであるが、不足分は企業債等による借入となることは避けられないため、企業債残高は再び増加に転じると予想される。このような中、平成29年度で策定した経営戦略の見直しと水道ビジョンや基本計画、アセットマネジメント策定等の取り組みを実施し健全な経営に努めていく。料金収入の確保については、人口減少により現行での使用料収入の増加は見込めないため、前段に示す取り組みを行いながら安定した経営が維持できるよう将来的に使用料金の見直しを検討していく。また、新配水池の構築に伴い不用となる現施設跡地の有効利用計画を図りながら安定した運営資金の確保に努めていくとともに、安全で安定した施設管理を図るため現遠隔監視システム等を強化し修繕箇所の早期発見など工夫した取組み等により経費節減に引き続き取り組んでいく。