経営の健全性・効率性について
本市の公共下水道事業は、事業開始から40年ほど経過しているが、現在も管渠新設事業を進めており、供用区域は徐々に拡大し、新たな公共下水道接続家屋等も増加している。また、既整備区域内においても、住宅分譲や老朽家屋の建替え・改築、世代交代による浄化槽・くみ取り槽からの接続替え等が増加しており、年間有収水量は緩やかに増加を続けている。このことから、使用料収入については、現在の水準で推移するものと考えているが、使用料収入を上回る企業債償還金や汚水処理費により、経費回収率が100%を下回っている。なお、企業債残高については、指標では対事業費比となっており、建設事業の多寡により年度によって多少の差異は認められるものの、実額は繰り上げ償還の完了などにより減少を続けており、企業債残高の実額は減少を続けている。公営企業会計移行時の現金預金額が少なく、企業債償還は、当該年度の使用料収入や一般会計繰出金収入に依存している部分が大きいことから、流動比率は低くなっている。本市は、処理場をもたず、本市の下水道汚水は県の処理場にて処理されていることから、施設利用率は計上していない。このようなことから、本市の公共下水道事業の経営は、課題はあるものの、現段階では概ね健全であると判断している。
老朽化の状況について
本市においては、供用開始からの経年が33年と比較的浅く、管路施設についての本格的な老朽化対策は行っていなかったが、今後、老朽化が進むと見込まれるため、管路施設の更新を計画し、実施していきたい。
全体総括
本市の公共下水道事業は、既整備区域の新規接続により、使用料収入の増大が予想される。一方、企業債残高の減少に伴い、企業債償還に係る基準外繰出しも減少を続けるものと考えられる。以上のように、本市の公共下水道事業は、使用料収入の増加、企業債残高の減少など経営状況は改善していくと判断しているが、さらなる接続率の向上による料金収入の拡大を図る。また、令和2年度に公営企業会計に移行し、今後はこれまで以上に詳細に経営状況を分析していくことになるが、区域の見直しなど、効率性の向上を図ることも必要であると考え、調査等準備を続けている。