群馬県:電気事業

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経営比較分析表(2017年度)

経営の状況について

○経常収支比率、営業収支比率本県の電気事業は、事業を運営するに当たって必要と見込まれる原価に適正な利潤を加えた金額を売電価格とする「総括原価方式」により、卸供給による売電を行ってきたため、安定した利益をあげることが可能で、継続して経常利益を計上してきた。平成26年度以降は、固定価格買取制度(FIT)の適用による増収や電力会社との契約見直しによる売電価格引上げなどもあり、10億円以上の経常利益を計上しており、経常収支比率及び営業収支比率は継続して100%を超えていることから、経営の健全性は確保されている。平成29年度は、主力の水力で平成28年度冬季において山間部の積雪量が多かったことや雨量が平年比で104%となったことなどにより、発電電力量が前年度に比べ増加したため、料金収入が増加し、経常収支比率及び営業収支比率も上昇した。○流動比率継続して100%を超え、また全国平均値を大きく上回っており、十分な支払能力を確保している。平成29年度は、建設改良工事未払金や未払消費税の増加により、流動負債が増加し、前年度と比べ流動比率が低下した。○供給原価、EBITDA(減価償却前営業利益)供給原価は継続して全国平均値よりも低く抑えられており、またEBITDAは全国平均値を大きく上回っていることなどから、事業の収益性は高いと言える。

経営のリスクについて

○施設全体本県の電気事業は、昭和33年から発電を開始しており、有形固定資産減価償却率は全国平均値と比べても高い状況にあるため、計画的な設備更新を行っていく必要がある。企業債残高対料金収入比率は、著しく低い水準であり、経営の健全性は良好である。○水力発電平成28年度に比べ、より好調な収益で経営を維持しているが、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にあり、全国平均値と比べても高い状況であるため、計画的な設備更新が必要である。FITの制度改正により、運転開始後20年を経過した水力発電所も導水路及び水圧管などを含めた全設備更新を実施することにより、FITの適用による増収が期待できることとなったため、この制度を活用した更新も検討していく。○ごみ発電平成29年7月末でFIT対象外となった。水力発電の料金契約に統合されたことに伴う売電単価の低下により、収益も減少している。また、高崎市高浜クリーンセンターの建替により平成34年度中には発電用の蒸気の供給が終了する予定であり、廃止に向けた対応を進める必要がある。○風力発電毎年度収支が赤字であることや運転開始後20年が経過し、製造メーカーの保守管理が終了するため、平成30年9月をもって廃止した。○太陽光発電有形固定資産減価償却率は、全国平均値を上回るものの電気事業の中で最も低くなっている。FIT収入割合は100%であり、FIT適用満了後は、買取単価が下落し、収入が減少するリスクが想定される。

全体総括

本県の電気事業は、安定的に収益を確保している上、流動比率が高く、経営の健全性は良好である。引き続き、群馬県企業局経営基本計画に基づき、電力の安定供給や経営基盤の強化、経営の健全性の維持に努めることにより、事業を安定的に継続していく。電力システム改革への対応については、現在締結済みの長期の電力受給基本契約終了後の売買先や売電方法について、電力取引の市場動向を注視しつつ、検討する必要がある。

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