経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、前年度に引き続き、単年度収支が100%を超えており、一定程度の健全性は確保できたが、維持管理費は上昇傾向にあることから注意が必要である。流動比率は、当該値は前年度より改善しており、今後も着実に企業債償還を進め資金の厚みを増す経営を目指す必要がある。企業債残高対事業規模比率は、使用料収入に対する企業債残高の割合であり、当該値は類似団体と比較しても比率が高く、また、災害復旧事業の影響を受け前年度を上回ってはいる。しかしながら、近年多発する豪雨に対応するため、雨水処理施設整備を現在進めているところであり、残高の推移を注視しながら事業を展開する。経費回収率は、使用料で回収すべき経費をどの程度使用料で賄えているかを表した指標であり、当該値は前年度より改善しているが、100%を下回っているため、適正な使用料確保が必要である。汚水処理原価は、有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用を表した指標であり、当該値は平均値・類似団体値を上回っているが、地理的要因等もあることから、より効率的な運営が求められる。
老朽化の状況について
公共下水道の供用開始から30年以上が経過し、機械設備等の更新時期を迎えている。管渠については未だ更新時期を迎えていないため大きな修繕はないが今後の更新を見据え、予防保全のための修繕や長寿化、事業費の平準化を図る必要がある。令和元年東日本台風により被害を受けた施設の災害復旧事業が完了したため、ストックマネジメント計画の見直しを図り事業の継続性を担保していきたい。
全体総括
本宮市は令和元年度から地方公営企業法の全部を適用し、令和2年度は2回目の決算となる。下水道事業においては、経常収支比率は100%を上回っているものの、経費回収比率は100%を下回っており、汚水処理経費を使用料収入以外の収入により賄っている状況である。今後の人口減少や維持管理費の上昇、更新投資等を見据え、適正な使用料収入の確保及び汚水処理経費の削減が必要である。安定的な経営のため、事業の能率的な経営と公共性及び企業性の発揮に努め、経営能力の向上を図る。また、経営状況を随時確認し、経営戦略の見直しを行う。