経営の健全性・効率性について
平成初期の拡張事業時に借り入れた高額の企業債の償還がピークを越え、企業債残高対給水収益比率は平均近くまで数値が落ち着いた。今後、耐震化事業を進めるにあたり企業債の借入の予定があるため、効率性や重要性を十分に検討しながら、適切に投資を行っていく必要がある。料金回収率は平成29年度の簡水統合後はほぼ一定の数値を保っているが、近年は100%を切る数値となっている。人口減少が進み給水収益が毎年減少傾向にある中で、現年度分の収納率は99%を超えているため、現状以上に大きく収益を伸ばすことは難しいと思われる。係る費用を精査し、費用の抑制を念頭に置いた予算執行に努め、依然高水準である給水原価の減少を目指す必要がある。有収水量については、平成30年度中に発生した漏水が解消されたため、ある程度の改善はされた。しかし、依然として2割以上の無駄水が発生しているため、漏水については早期発見に努め、主に冬期間における宅内漏水については住民について周知徹底を行うなど、十分な対策を講じるよう努める。また、根本的な解決として、管路の老朽化対策及び耐震化対策を令和2年度より本格的に進めていく予定である。ただし、財政的に今後厳しくなっていくと予想されるため、綿密な計画の基、慎重に事業を進めていく必要がある。
老朽化の状況について
老朽管の更新工事については、下水道工事と同時に施工し掘削等の効率化を図り進めてきたが、令和元年度で下水道工事が完了したため、今後は上水道単独で進めていくことになる。経年化率が年々上昇していく中で、単なる老朽管更新ではなく、耐震化計画と併せた計画の基、効率的に進めていく。施設についても同様に耐震化計画と併せ更新を進めていく計画であるが、旧簡易水道区域においては人口減少が顕著であるうえ、施設利用率が著しく低い。加えて、減価償却率が上昇しており、老朽化が進んでいる施設は旧簡易水道区域にも多く存在する。そのため、今後の運用については見直しが必要な施設もあり、施設の統廃合を含め、在り方を検討していく必要がある。
全体総括
単年度の収支については累積欠損金は発生しておらず、健全な経営を行うことができている。しかし、人口減少による料金収入減に伴い、資金が減少傾向にあり、今後も悪化することが予想される。設備についての耐震化等の必要な事業は行わなければならないため、施設や管路の更新については更新費用を十分に検討したうえで、計画を策定する必要がある。また、給水原価の上昇を抑えるために経費の削減に努める等経営努力を行い、料金収入については将来的な料金の改定も視野に入れながら、経営を行う必要がある。