経営の健全性・効率性について
①給水収益等で施設の維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す経常収支比率は過去5年間すべて100%を上回っており、収支が黒字であることを示している。平成29年度は、大口需要家の使用水量減少により給水収益が減となったが、委託料等の減に伴う営業費用の減により、経常収支比率が114.91%と前年度を上回る結果となった。③1年以内に支払うべき債務に対して、支払うことができる現金等がいくらあるかを示す流動比率は、過去5年間、理想的な企業といわれる200%以上を優に上回っている。④給水収益に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対給水収益比率では、過去5年間で約200%を推移しており、これは毎年度の企業債残高が、年間の給水収益の約2年分であることを示している。⑤給水に係る費用(給水原価⑥)が、どの程度給水収益(供給単価)で賄えるかを示す料金回収率は、過去5年間ですべて100%以上で、給水に係る費用がすべて給水収益のみで賄われていることを示している。⑥給水原価は1㎥にかかる費用のことで、過去5か年で120円から140円台を推移している。これは、類似団体の平均値187.18円を優に下回っており、費用削減等の取組による健全経営であることを示している。⑦施設利用率においては、1日の配水能力に対する平均配水量の割合であり、50%台を推移している。有収率が低下傾向にあるため、類似団体平均値より上回っているが、全国平均を下回っている。⑧有収率においては、低下傾向にあり、給水される水量が収益に結びついていないことを示している。漏水等の調査を行って原因を特定し、その対策を講じる必要がある。よって、当団体の経営は健全であり、また効率性が保たれていることを示している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率においては、平成26年度は、地方公営企業会計制度見直しの影響で平成25年度を大きく上回った。また、昭和50年代前半から大規模な管路整備等を行い、その時に布設した管路等が耐用年数を迎える時期となっている。③管路更新率においては、類似団体及び全国平均を上回っている。現在、道路改良工事等に併せて更新の必要性が高い管路を優先的に行っている。
全体総括
水道事業を取り巻く環境は、年々厳しさを増してきており、給水収益においては、総収益は平成27年度から漸減している。平成29年度の経営成績は、総収益が298,354千円、総費用は269,650千円で、損益収支においては当年度純利益28,704千円の計上となった。今後は、給水人口の減少に伴う収益の減少と、過去に建設した施設等がこれから大量に更新時期を迎えることによる改修費用の確保をどうするかという課題に直面することが予想されるため、中長期的な経営の基本計画(経営戦略)を平成32年度までに策定し、水道事業の方向性を明確にしていくことが必要である。