経営の健全性・効率性について
①経常収支比率100％以上を維持し平均値、全国平均とも上回り安定した経営が図られているが、前年比約10％減となった。これは、経常収益が前年比4%減に対し、経常費用が前年比6.3%増となったことに起因する。経常収益について、9割以上を占める水道料金は、近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測され3.6%減となった。これに加え、受託工事収益においては、主に消火栓修繕等が計画的に行われてきており、大幅な減となった。一方、経常費用について、営業費用として通年業務の委託に加え新たにアセットマネジメントや経営戦略を委託費により策定、修繕費においては、既設管の老朽化により修繕箇所が増加したことが主な要因である。③平成29年度流動比率は平均値、全国平均とも上回っているものの、流動資産は老朽管等の布設替え等の投資の増加に伴い減少傾向にある。④企業債残高対給水収益比率は給水収益がほぼ横ばいに対し、現時点で大規模投資が無いため企業債残高が減少し続けることに伴い比例し緩やかに減少傾向で推移しているが、平成32年度以降に予定している配水池更新事業等により増加に転じると予想される。⑤料金回収率は平均値、全国平均とも上回っており適切な料金収入の確保が図られているが、前年比約11％減となった。これは、給水収益が前年比3.6%減に対し、主に経常費用が前年比6.3%増となったことに起因する。給水収益の減について、経常収益の9割以上を占める水道料金が近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される。一方、経常費用の増について、営業費用の委託費において通年業務委託に加えアセットマネジメントや経営戦略を策定、修繕費においては、既設管の老朽化による修繕箇所が増加したことが主な要因である。⑥給水原価は、平均値、全国平均とも下回ったが、前年比12.4%の増となった。これは、年間総有収水量が前年比3.8%減に対し、主に経常費用が前年比6.3%増となったことに起因する。年間総有収水量の減については、近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される一方、経常費用の増については、営業費用の委託費において通年業務委託に加えアセットマネジメントや経営戦略を策定、修繕費においては、既設管の老朽化による修繕箇所が増加したことが主な要因である。⑦施設利用率は、平均値、全国平均を下回っている。現認可の計画給水人口と計画1日最大給水量に比し計画時の約70％程度まで減少していることに起因している。⑧平成30年3月末現在の有収率は86.15%で前年比3.2%の減となった。これは、年間総配水量の前年比変動がほぼ無いのに対し、年間総有収水量が前年比3.8%減となったことに起因する。年間総有収水量の減については、近年における節水意識の高揚と人口減少による影響と推測される。一方、年間総配水量に大幅な変動がないことに対し、年間総無収水量は前年比約26％増となった。この要因として、営業費用修繕費における既設老朽管の破損等による修繕費が前年比約70％増の実績に示すとおり、これに伴う漏水量が影響しているものと推測される。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平均値、全国平均ともに上回っており増加傾向にある。特に配水・浄水施設を中心に老朽化が進んできている。②管路経年化率は平均値、全国平均ともに下回っている。配水管は計画的に更新できている一方導水管の更新ができていないのが現状である。③管路更新率は平均値、全国平均とも下回っている。今後予定している、配水池等の大規模更新のため最小限の更新とし経費節減していることに起因している。
全体総括
今後において、耐用経年管や老朽化した配水池、浄水施設等の更新を予定し膨大な投資が必要となる。財源確保のため日頃から経費節減に努めていくところであるが、不足分は企業債等による借入となることは避けられないため、企業債残高は再び増加に転じると予想される。このような中、国で示す経営戦略を策定したところであり、今後は水道ビジョンや基本計画、アセットマネジメント策定等の取り組みを実施し健全な経営に努めていく。料金収入の確保については、人口減少により現行での使用料収入の増加は見込めないため、前段に示す経営戦略策定等を随時見直しを行いながら安定した経営が維持できるよう将来的に使用料金の見直しを検討していく。また、安定した施設運営を図るため、現遠隔監視システムを強化し日常点検の充実を図ることで修繕箇所の早期発見など工夫した取組み等により経費節減に引き続き取り組んでいく。
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