経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、資本費平準化債の影響により若干下がっている。ここ数年は80%前後で推移しており、黒字を示す100%には至っていない。また経費回収率も100%に至っていないため、法適用を機に使用料改定の検討を本格化させていく必要がある。企業債残高対事業規模比率は、類似団体や全国の平均より低水準を保っている。これは、供用開始から時間が経過して企業債の償還が順調に進んでいるためと考える。汚水処理原価については、類似団体の平均値を下回っている。有収水量はほぼ横ばいで推移しているため、今後も同程度の数値で推移していくと見込まれる。施設利用率は10年弱横ばいの状態が続いている。新規の面整備は休止中であり、有収水量や人口の推計から見ても大きく改善することは見込めないため、農業集落排水施設の統合を検討している。水洗化率は例年微増しており、類似団体よりは高い水準にある。しかし、水洗化普及活動における聞き取り調査において、水洗化工事が困難である相当の理由を有するケースがいくつか存在することも把握しており、今後大幅な増加は見込めないものと思われる。
老朽化の状況について
供用開始から30年以上が経過し、施設の物理的・機能的な老朽化が進んだため、長寿命化計画に基づいて計画的に工事を実施している。処理場、ポンプ場及びマンホールポンプの改築更新工事については令和2年度まで実施する。管渠については、改善率が低い水準にある。管渠改善が遅れている要因には、これまで処理場等の改築更新を進めていたことや、ストックマネジメント計画が未策定であることが挙げられる。現在は陥没等発生後の事後保全工事に止まっているが、令和2年度にはストックマネジメント計画を策定する予定なので、今後はこれに基づいて対策を講じていくこととなり、率の改善が見込まれる。
全体総括
東金市の公共下水道事業の経営状況は、比較的良好であると考える。使用料単価は約150円/㎥で十分な水準であり、経費回収率も、100%には至っていないが高水準を維持している。令和2年度から法適用企業へと移行したことにより経営状況が明確になることから、より詳細なデータを得ることで経営戦略の策定や料金改定の算定に利用することを考えている。