経営の健全性・効率性について
地方債の元利償還金の返済のピークは過ぎ、収益的収支比率は徐々に改善している。今後もこの傾向は続くものと見込まれる。企業債残高対事業規模比率を見ると、ここ数年の使用料収入は、消費税の改正があった平成26年度は2.1%の増加であったが、通常は前年比0.1%から0.7%と微増にとどまっており大幅な増加は見込めない。一方で企業債の残高は平成22年度末82億4千1百万円が平成26年度末69億9千9百万円と減少しておりこのまま減少が見込まれる。投資規模については、処理場の長寿命化計画を策定し計画的に更新を行っている。平成27年度にはポンプ場の長寿命化計画を策定し、平成29年度には管渠についての計画を策定する予定である。経費回収率は直近2年では99%を越えておりほぼ回収できている。また使用料水準も目標単価である150円/㎥を上回る159.4円/㎥(H26)であり適正な水準にあると考える。汚水処理原価は類似団体平均値と比較すると大幅に低い状態である。企業債の償還が進み資本費は減少しているが、管渠の老朽化等により維持管理費が増加傾向にある。施設利用率についてはやや低い水準である。新規の面整備を休止していることが影響しているが、市内4箇所の農業集落排水の処理場のうち3箇所の汚水を受け入れることも検討している状況である。水洗化率は微増傾向にありおよそ90%となっている。イベントや広報誌でのPRなどを行っているが大幅な増加は見込めないのが現状である。
老朽化の状況について
供用開始から平成30年を経過し老朽化が進んでいる状況である。平成24年度に処理場長寿命化計画を策定し、平成30年度まで改築更新工事を行うこととしている。また平成27年度にはポンプ場長寿命化計画を策定し、平成28年度実施設計、平成29年度から32年度に改築更新工事を実施する予定である。管渠については平成29年度から34年度にかけて改築更新を行っていく予定である。しかし平成26年10月に老朽化した管渠の陥没が発生したことから、例年実施している清掃業務に加え老朽化が進んでいると思われる箇所について大掛かりな管渠内清掃を実施した。また、平成27年度からは汚水管内調査の業務を行い現状の把握に努めている。
全体総括
全体的に考えると東金市公共下水道の経営状況は比較的良好な状態を保っていると考えられる。地方債の元利償還金のピークは過ぎ使用料単価150円/㎥を越え、経費回収率もほぼ100%の水準となっている。しかし今後の施設の改築更新については対応がやや遅くなっている状況にあることは否めない。処理場については改築更新工事を実施しており、ポンプ場については平成27年度長寿命化計画策定、平成28年度実施設計と作業を進めているが、管渠についてはやや遅れ平成29年度から34年度での対応となる。その間は、汚水管内調査、管渠の清掃業務を行い適正な運営を行えるよう務めることとなる。また平成32年4月からの地方公営企業法の適用を予定しており、より詳細で正確なデータを得ることにより持続可能な下水道事業を運営していくこととする。