経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は前年度からはやや低下したが平成26年度以降は80%以上となっている。資本費平準化債の発行による影響であるが、世代間負担の平準化を考えると適正な水準にあると考える。企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値と比べると低い水準を保っている。供用開始から時間が経過し企業債残高が順調に減っていることが要因である。企業債残高は平成14年度末の約121億円をピークに、5年前の平成23年度末で約79億円、平成28年度末約63億円となっており、5年後の平成33年度末には約33億円になると推計している。企業債の発債と今後の改築更新等の建設改良費のバランスをとりながら事業を進めていく必要がある。経費回収率は高い水準にあるが100%には達していない。しかし使用料単価は、適正な水準とされる150円/㎥を上回る161.8円/㎥となっており、現状では充分な水準であると思われる。汚水処理原価は類似団体平均値を下回っている。企業債の償還が進み汚水資本費が減少していることが要因と考えている。施設利用率はやや低い水準である。効率的な利用のために農業集落排水事業との統合等検討を進めている。水洗化率は類似団体平均値より少し高いが、1割程度の未接続者がいる。平成28年度は産業祭等の市の行事での水洗化普及等を行ったが、なかなか向上することは見込めない状況にある。
老朽化の状況について
管渠改善率は低い水準にある。処理場については、現在長寿命化計画に基づき改築更新を行っており、平成30年度で終了予定である。ポンプ場の改築更新も進めており、市内5箇所のポンプ場を、より低いランニングコストで稼動できるマンホールポンプに変更するために、平成28年度、29年度に実施設計を行い、平成30年度に工事を行うこととしている。その後管渠の更生工事を順次行っていくこととしている。平成26年度に管渠の陥没が発生したため、平成27年度から管渠のカメラ調査や清掃等を行っており、優先度の高い箇所について随時更生を行っているところである。
全体総括
東金市の公共下水道事業の経営状況は比較的良好であると考える。平成32年度からの地方公営企業法の適用を予定し、現在移行作業を進めているところである。経営状況が明確になることを期待しており、料金改定や管渠の更生工事等の指標として利用することを考えている。また移行作業により得られたデータを経営戦略の策定に活かすべく作業を進めている。並行してPPP手法導入可能性調査、汚泥の堆肥化の検討を行っている。東金市の汚水処理事業として、公共下水道事業・農業集落排水事業を合わせての経営改善を進めており、平成29年度からは農業集落排水の汚泥を公共下水道の終末処理場に搬入している。また農業集落排水を公共下水道に統合し経費の削減ができないか、検討している。