潟上市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

料金収入は横ばいを保っている。費用は、平成29年度に除却費48,862千円が生じたため、一時的に経常収支比率、料金回収率ともに悪化したが、平成30年度には回復したこのため給水原価も昨年度より若干低くなったが、依然として類似団体と比較して高い。これは浄水場を複数有しているため維持管理費や、動力費などの費用がかかるのが一因。また近年、設備の修繕や漏水の件数が多くなってきている。なお、現在新中継ポンプ場を整備中だが、完成後に減価償却費が増加するため、給水原価が高くなると予想される。有収水量の変動は少ない（昨年度より微減）。流動比率は類似団体と比較して低い。これは経常収支が黒字を保っていることもあり企業債の借入を抑えてきたため。一定の現金残高を確保しており資金運営には問題はない。企業債残高対給水収益比率が類似団体と比べて高いのは、平成23年度以降、浄水場新設、未普及地域への配水管布設等の大きな建設改良工事があり、企業債の発行が続いたため。最近では平成28年29年は借入をせず、30年度は工事の遅れにより一部分のみを借入した。一方、給水収益は横ばいのため、比率としては下がってきているが、今後浄水場の更新計画があるので、高くなってゆく見込み。施設利用率は、配水量が増加傾向だったが、配水管の漏水調査をし不明水が減少し、施設利用率が下がった。同様に、有収水量が横ばいのため有収率は改善している。

老朽化の状況について

24年度完成の新浄水場と25、26年度の配水管の布設(新規）をしているが、有形固定資産減価償却率は増加の傾向にある。27年度から整備している中継ポンプ場が令和元年度に完成予定なので、翌年度からは償却率が下がる見込み。さらに、除却が適当な資産は処理をすることが必要。管路経年化率は類似団体より比率が低いが、配水管の漏水が増えてきているため、計画的な更新が必要。管路の更新率が0％となっている。これは、平成18年度以前は管路更新を行っていたが、近年は浄水場・配水場等の施設整備事業が続き更新工事を行っていないため。

全体総括

近年、経常利益は生じているが、今後は有収水量が増加しない反面、減価償却費や施設の維持補修費が増加し経常利益は減少していく見込み。新中継ポンプ場は令和元年度の完成の予定だが、その後も新浄水場の整備事業を計画しており、財源に企業債を発行する予定で、後年の企業債償還金が増加していく。老朽化した管路の更新は、更新の方針を決めて上記整備事業の完了後に計画的に実施していく予定。企業債借入については後年度の負担を考慮するとともに、給水収益の推移に注意し適切な料金水準を保つよう取り組む。