経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成29年度と比較し2.73ポイント下降した。全国平均と比較すると4.12ポイント低く、類似団体平均と比較すると0.16ポイント低い。下降の要因は、分母の増加より分子の増加が少なかったことによるもので次のとおりである。分母では、経常費用のうち「水道ビジョン」や「施設更新計画」の策定業務を執行したことから委託料などが増となったため33,931千円の増となった。分子では、経常収益のうち営業収益において新規の住宅着工が落ち着いてきたことから給水収益や加入金などが減少したため9,422千円の減額となった。営業外収益では、高料金対策補助金などが増となり33,206千円の増となった結果、分子では23,784千円の増となった。②累積欠損比率は、未処理欠損金が発生していないため算定されなかった。③流動比率は、平成29年度と比較し784.04ポイント下降し1057.59%となった。類似団体平均や全国平均と比較しても高い比率であり、その主な要因は、東日本大震災以後、災害復旧・復興事業により、単費を投じての建設事業(管路等の更新事業)を人員不足の関係から行うことができなかったことによるものである。④企業債残高対給水収益比率は、平成29年度と比較し4.21ポイント下降した。類似団体平均や全国平均と比較しても低い比率である。要因は、新規の借入がなく着実に償還が進んでいることから比率が下降した。今後、人口減少が進み給水収益が減る中で、老朽施設等の更新に着手し、企業債を起こすことになった場合、比率の上昇は避けられない。⑤料金回収率は、平成29年度と比較し6.15ポイント下降した。類似団体平均や全国平均と比較しても低い比率である。また、⑥給水原価は、平成29年度と比較し17.38円高くなった。類似団体平均と比較した場合は、101.19円高くなっている。要因は、経常費用が増となり給水原価が高くなったことによる。また、本町では、自己水源が無く100%受水であり受水費に占める資本費が高いことも要因の一つと考えられる。今後の水道料金については、「水道料金改定業務の手引き」を参考に設定したい。⑦施設利用率は、平成29年度と比較して0.52ポイント下降した。類似団体平均や全国平均と比較すると下回っている。主な要因は、震災による人口の減少と給水設備が節水型になっているためと考えられる。⑧有収率は、平成29年度と比較し0.07ポイント上昇した。類似団体平均と比較した場合は、17.51ポイント高くなっており、十分収益に結びついていると考えられる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値と比較して0.05ポイント高い。また、②路経年化率は、類似団体平均値と比較して5.1ポイント高い。これは、本町の給水面積が13.19㎢と東北一小さな町であることで、上水道の普及が早かったことによる。今後は、令和元年9月に策定した「施設更新計画」や「水道ビジョン」により、長寿命化や被害のなかった施設の耐震化などを進めたいと考えている。③管路更新率は、類似団体平均値と比較して0.50ポイント低い。老朽化の状況については、施設、管路ともに進んでいることは認識しており、令和元年度に東日本大震災からの復旧・復興事業の終息を迎えることから、今後は施設の更新を進めたいと考えている。
全体総括
東日本大震災からの復旧・復興事業が令和元年度には終息する。今後は、「小さなまちに大きな安心をくらしを支える水道」を基本理念とし、町民や事業者等に丁寧に説明しながら、事業を進めたいと考えている。