経営の健全性・効率性について
特定環境保全公共下水道で整備を進めていた旧玄海町地域の面整備が概ね完了したために、平成26年度に旧宗像市地域の公共下水道と経営統合を行った。また、同じく平成26年度に新会計基準への移行を行ったため、前年までと比べて大きな差がある指標もある。経年による施設の老朽化などのため、維持管理費は増加傾向にあるものの、①経常収支比率、⑤経費回収率は100を超え、堅調である。平成26年度における④企業債残高対事業規模比率の増加は、特定環境保全公共下水道を経営統合したことによるものであり、毎年新規借り入れを上回る償還を続け残高は着実に減少している。また、⑧水洗化率の減少についても同様に経営統合の影響であり、供用から日の浅い旧玄海町地区の接続促進を図ることで解消するものである。⑦施設利用率の平成26年度における大幅増については、特定環境保全公共下水道を経営統合したことによるものだが、以前から公共下水道の終末処理場で汚水処理しているため、2事業を合わせると平成25年度以前についても同様の利用率となる。新会計基準への移行に伴い③流動比率が100を割っているが、これは次年度の企業債償還金を流動負債に計上することとなったためである。また、再生可能エネルギーである消化ガスによる発電を実施することで、温室効果ガスの削減という環境問題へ貢献しつつ、電力購入費の圧縮という経費の抑制を図る(平成28年度完成見込)。
老朽化の状況について
昭和45年の事業開始から40年以上が経過し、施設の老朽化が進んでいる。管渠施設については、早期に供用した日の里地区のマンホール蓋の更新を平成25年度から行っている。今後、管内カメラ調査などで判明した老朽管・老朽蓋の改築更新を進める。また、管と桝の接合部の補修などの浸入水対策も引き続き行い、経費の抑制に努める。処理場・ポンプ場施設については、平成17年度から10年間の処理場施設改築更新が完了し、引き続き他の老朽箇所の改築更新を行う。なお、平成26年度における①有形固定資産減価償却率の急激な増加は、従前は減価償却をしないとしていた国庫補助金等により取得した資産についても新会計基準では取得時から減価償却を行っていたものとして取り扱うとされたためであり、急激に施設が老朽化したということではない。
全体総括
総じて全国の類似団体と比しても堅調な運営を行っていると言える。事業開始から40年を超え、施設の老朽化による改築更新は避けることができない課題だが、引き続き接続促進による収益の向上に努め、消化ガス発電や老朽施設の改良更新などの措置による維持管理費の抑制を行い、更に安定した事業運営を目指すものである。