経営の健全性・効率性について
〇経常収支比率は、100%を上回っており、単年度の収支は健全性を保っている。〇経費回収率は、汚水処理費に充当した使用料収入以外の特定財源(雑入)があるため、100%を下回っている。〇流動比率は、100%を下回っているが、流動負債のうち企業債については、償還原資として翌年度の使用料収入等を見込んでおり、未払金も含め支払いに問題は生じない。〇汚水処理の概成に向けた事業及び老朽化した施設更新の事業量が増加しており、建設事業債や資本費平準化債等の発行が増え、企業債残高が増加傾向である。また、企業債残高対事業規模比率は、全国平均及び類似団体平均を上回っており、引き続き比率の推移を注視する必要がある。〇汚水処理原価は使用料改定の実施に伴い増加した。〇施設利用率は、整備済区域面積が整備対象区域面積の74.1%と低いこともあり、全国平均及び類似団体平均を下回っている。そのため整備面積の拡大、水洗化率の向上、広域化・共同化などにより、下水道資産の有効活用を図る必要がある。〇水洗化率は、年々上昇しているが、今後も普及啓発に努め、より一層の水洗化率向上を図る必要がある。
老朽化の状況について
〇有形固定資産減価償却率は、平成30年度に地方公営企業法適用してから4年しか経過していないため、全国平均及び類似団体平均を大きく下回っている。一方で事業開始当初の施設は間もなく50年を迎えることから、ストックマネジメント計画に基づく更新補修により長寿命化を図るとともに、市全体の汚水処理施設のあり方の検討を行ったうえで適正規模の改築更新を進める必要がある。○管渠については、標準耐用年数である50年に達した管渠が令和2年度から発生し始めたところである。今後、点検調査により現状を把握・分析し、予防保全型施設管理の実施により効率的で適正な維持管理及び延命化を図っていく。○処理場及びポンプ場等の機械・電気設備については、順次計画に基づく改築更新により長寿命化を行っており、今後とも適正な維持管理に努める。
全体総括
当市は、管渠の整備完了までに多くの費用と長い期間を要する一方で、事業開始当初に建設された管渠及び施設の更新・改築時期が到来しつつあり、今後、多額の改築更新経費が見込まれる。今後の取組としては、未普及地域の面整備を年次的に推進し施設の効率性を高めるほか、普及促進活動等により使用料収入の確保に努めるとともに、効率的な運転管理による維持管理経費の節減等に努める。また、ストックマネジメント計画に基づく施設及び管渠等の計画的な更新補修を行い、効率的な資産管理に努める。また、財務諸表による現状把握と今後の投資・財政見通しを検証し、収入と投資のバランス及び私費と公費の適正な負担区分を考慮しながら事業の安定的かつ持続的な運営を目指す。