経営の健全性・効率性について
水源を県境のダムからの遠距離送水に求める本町は、給水コストが高く、料金収入による独立採算が困難である。しかし、県内一の高料金水準のため、更なる経営の効率化に努めるとともに、一般会計からの繰入金確保による料金水準の維持に努めたい。①経営収支比率給水収益の不足分を一般会計からの繰入金で補っている状態であり、これによって経営収支比率100%以上を維持している。②累積欠損金比率水道会計移行時に特別損失(引当金)を計上したことによるものであり、今年度は解消されている。③流動比率効率的な経営に努め、内部留保の確保に努力する。④企業債残高対給水収益比率地方債残高は、料金収入等の6倍となっており、計画的な施設更新を行うことにより、企業債増加の抑制に努める。⑤料金回収率給水費用に対する料金収入等の割合は、大島大橋損傷事故の影響もあり、40%となった。一般会計からの繰入金に大きく依存している。⑥給水原価使用水量1㎥当たりの費用は、大島大橋損傷事故の影響もあって550円と全国平均よりかなり高水準となり、経営圧迫の要因となっている。⑦施設利用率日当たり配水能力に対する平均配水量の割合は、65%程度となったが、使用量に見合った施設の更新を検討する必要がある。⑧有収率総配水量に対する使用水量の割合は、70%程度と全国水準より低水準であり、漏水の抑制など効率的な配水に努める必要がある。
老朽化の状況について
経営状況から、近年では修繕事業を主とし、老朽管や設備等の計画的な更新は行えていないが、法定耐用年数と老朽化の度合いを考慮しつつ、管路や設備等の延命化や更新を図るなど、水の安定供給に努めたい。
全体総括
水源からの遠距離送水に頼らざるを得ないこと、集落が点在するため施設・設備の集約が困難なことなどの地域性を持つ本町水道事業において、ある程度給水コストの高止まりはやむを得ないものの、漏水の抑制や施設・設備の集約・更新などにより効率的な配水に努める必要がある。また、今後ピークを迎える管路や施設・設備の更新については、延命化や設備の再配置などによりコストの圧縮を図りたい。平成30年10月22日に発生した大島大橋損傷事故により、40日間給水できない状態となったことが大きく影響している。