経営の健全性・効率性について
【①計上収支比率について】本市水道事業は、当該指標が100%以上であり、単年度収支が黒字である。これは、平成29年4月に実施した料金改定の成果である。引き続き、老朽管の布設替え、漏水箇所の早期発見、早期修繕等により有収率を向上させ、配水施設等の電気代等経常費用を節減するなど経営改善に取り組む必要がある。なお、段階的に実施することとした料金改定について、平成31年4月から完全実施した。【②累積欠損金比率について】当該指標が0%であり、累積欠損金は発生していない状況である。【③流動比率について】当該指標が100%以上であり、1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等を保有している状況である。【④企業債残高対給水収益比率について】本市水道事業は、類似団体との比較では300%以上高くなっている。企業債の借入を償還元金を下回る範囲で実施しており、経年比較では改善している状況である。【⑤料金回収率について】本市水道事業は、当該指標が100.01%であることから、妥当な料金水準であると評価できる。【⑥給水原価について】本市水道事業、湧水に恵まれており、類似団体との比較では低い。一方、経年比較では徐々に高くなっており、効率的に老朽管の布設替え及び漏水修繕等を実施し、経費節減を行うことが必要である。【⑦施設利用率】本市水道事業は47.12%であり、類似団体との比較では低い。これは、本市の特性の一つである配水能力の高さの表れでもあるが、人口減少が進む中、適切な施設規模を把握し、施設のダウンサイジング等を検討することが必要である。【⑧有収率について】本市水道事業は59.6%、類似団体との比較では著しく低い状況である。これは老朽管からの漏水が原因と考えられる。特に、古川渡地内の国道139号線に埋設されている配水管は、耐用年数を超過し、漏水と修繕を繰り返していることから、令和3年度以降の下水道事業と合わせて布設替えを実施する予定である。
老朽化の状況について
【①有形固定資産減価償却率について】本市水道事業は、42.41%で類似団体との比較では低い状況だが、老朽化の状況を示す他の指標である管路経年化率が高く、管路更新率が低い状況を踏まえると、投資計画等の見直しなどを行う必要がある。【②管路経年化率】本市水道事業は、29.46%で類似団体との比較では2倍近く高い状況である。法定耐用年数を経過した管路を多く保有していることから、管路の更新等を計画的かつ効率的に行う必要がある。【③管路更新率について】本市水道事業の更新は遅れており、料金改定で確保した財源により、耐震化も含め管路の更新等を計画的かつ効率的に行う必要がある。
全体総括
老朽化した施設や管路等(以下施設等という。)の更新及び耐震化、大規模災害への対応、給水人口の減少に伴う給水収益の減少等の課題に対応するため、令和3年度を初年度とする「都留市水道ビジョン」及び「水道施設整備基本計画」を策定することとしている。令和2年度までのビジョン及び基本計画の課題や残事業等を整理し、老朽化した施設等を今後10年間に、効率的に更新、耐震化する計画としなければならない。また、平成30年度に策定した「経営戦略」についても水道料金改定後の決算状況を踏まえて中間評価し、見直し等を検討する必要がある。これらの計画に基づき、老朽化した施設等を更新することが必須である。