経営の健全性・効率性について
平成26年度の地方公営企業法の改正に伴い、企業債の未償還額が資本から負債に移ったため、流動比率が平成26年度から大きく減少している。また、改正に伴い台帳を整理したところ過去の減価償却の処理に誤りがあり、差額分を減価償却費として一括計上した。そのため、平成26年度は支出額が増加し収支比率が減少、給水原価が上昇し料金回収率が減少している。また、平成29年度より簡易水道事業を上水道事業に統合した。変更事業認可を申請する際に、現状とかけ離れていた指標数値等を修正した。これにより、特に施設利用率が改善しているものの(日最大配水量を施設規模に合わせて下げたため)、旧簡易水道区域は元々施設規模が過大であり、減価償却費が給水収益の9割を超えていたため、統合後の経常収支比率が大きく減少、悪化している。給水量あたりの電気料金等の施設運転費も増加しているため、給水原価も増加している。平成30年度の有収率については、冬期間の宅内漏水の他に、特定に時間を要した本管の大規模漏水の影響で数値が大きく減少した。これについては今後同様の事態が起きた場合のために、漏水探知機を導入するなどの対策を講じた。宅内漏水についても、広報を活用し、各使用者へ対策を呼びかけるなど周知を行い、有収率改善に努めている。また、根本的な解決として管路の老朽化及び耐震化対策を今後も進めていく予定である。ただし、財政的に今後厳しくなっていくと予想されるため、綿密な計画の基、慎重に事業を進めていく必要がある。
老朽化の状況について
老朽管の更新工事については下水道工事と同時に施工し、掘削等工事の効率化を図っている。平成31年度で下水道工事が全て完了するため、これに伴い上水道工事も一旦完了する予定。また、平津配水池、上寺配水池の耐震化更新工事も平成31年度に旧配水池の取り壊しを以って全て完了予定。他の配水池については今後時期をみて耐震診断を進めていく。今後の施設、管路の老朽化及び耐震化更新については、人口減に伴う水需要の減少により、料金収入が年々減少していくことが予想されるため、経営に無理の無いペースで進めていく形となる。特に旧簡易水道区域については人口減少が顕著であり、給水量に対する設置施設が他と比較し過剰であるため、今後の運用については、施設の統廃合を含め、在り方を検討していく必要がある。
全体総括
単年度の収支については累積欠損金は発生しておらず、健全な経営を行うことができている。しかし、人口減少による料金収入減に伴い、現金預金が減少傾向にあり、今後悪化していくことが予想される。設備についての耐震化等の必要な事業は行わなければならないため、施設や管路の更新については更新費用を十分に検討したうえで、計画を策定する必要がある。また、給水原価の上昇を抑えるために経費の削減に努める等経営努力を行い、料金収入については将来的な料金の改定も視野に入れながら、経営を行う必要がある。