経営の健全性・効率性について
【経営の健全性】平成22年度より単年度赤字が続いていましたが、平成29年度は料金改定による収入増等により、単年度で約7千万円の黒字、年度末での赤字の累計は1億6千万円程度となり、短期的には経営状況が改善されました。これまで収支状況改善のため、人件費の抑制や物品購入等の費用節減など経費の圧縮に努めてきましたが、利用者数の減少や節水機器の普及により、料金収入の減少傾向が続いています。現状では、「①経常収支比率」で示すとおり、収入は支出の127%となり、平成21年度以来の黒字となりました。「③流動比率」の減少は、預金の減少・支払能力の低下を表しています。平成29年度は若干の回復が見られますが、依然として類似団体、全国平均を下回る状況です。「⑤料金回収率」は料金水準を示しており、平成29年度の回収率は100%を超え、製造・販売などにかかる費用を料金収入で賄えたことを表しています。継続的に安定した経営を行うため、中期の収支財政計画を作成しており、今後も経営安定化のため、計画的な取組みを進めます。【効率性】「⑦施設利用率」は、配水能力のうち、どの程度利用しているかを示しており、斜里町は45%程であり、全国平均値及び類似団体値に比べ低くなっています。これは、上水道事業においては災害等に対する備え分であり、簡易水道事業においては、観光地区であることから、季節(期間)や年度ごとの観光客数の変動に対応できる配水能力を確保しているためです。また、上水道と簡易水道では地理的に40km離れているという特殊性もあり、施設の統廃合やダウンサイジングは非常に困難な状況で、一概に効率性が悪いとは言えない状況です。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は、老朽化がどの程度進んでいるかを表すものです。上昇傾向にはありますが、全国平均値及び類似団体値と比べて低い状況です。また、耐用年数を超えた管路の割合を表す「②管路経年化率」も、類似団体等よりも低い状況です。一方、「③管路更新率」は、1年間に更新した管路の割合を表すもので、減少傾向にあります。これは、平成22年度までは優先的に老朽化対策を行ってきたものの、企業債(借金)の依存度が高いことや、赤字決算が続いていたことから、その後は管路更新を先延ばしにしてきたことによるものです。更新率が0.06%の場合、全ての管を更新するのに1500年以上かかる計算となります。取替更新を先送りすると、漏水事故が多発する危険性が高まるため、今後も収支状況を改善し、計画的に老朽管の更新を行っていく必要があります。
全体総括
水道事業は、住民生活のみならず、経済活動を支える上でも欠くことのできない事業であり、「安全・安心・安定」の水を供給し続けていく必要があります。これまで、施設の老朽化対策を優先的に進めるなど施設の維持・管理を行いながら、低料金で水の供給を行ってきましたが、人口減少に伴う利用者数の落ち込みなど、今後さらに厳しい経営となることが想定されています。策定した収支経営計画を基に、計画と現状との比較分析を行いながら、更なる経費削減に努め、料金改定等の取組みを進るなど、環境の変化に対応し安定した経営を行うため、めます。