経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、「流動比率」が56.25%と昨年と比較すると増加傾向にあるものの100%を下回っており、1年以内に支払わなければいけない負債を賄えていないので、支払能力を高めるための経営基盤の強化に努めていく必要がある。(要因)主な流動資産である現金預金が少なく、また多額の企業債償還金や一時借入金の増加等が挙げられる。(今後の対策)・費用対効果を十分に考慮したうえでの下水道面整備を行い地方債計画を盛り込んだ整備計画を策定する。・使用料収入の基である「水洗化率」が88.34%と類似団体に比べ高いとは言えないため、未水洗化世帯への促進、啓発を継続的に行うことで有収水量の確保に努める。また、「企業債残高対事業規模比率」は類似団体と比較して高い数値となっている。今後投資規模と料金水準及び企業債残高とのバランスに留意しながら、企業債残高を減少させていくよう事業計画を進める必要がある。効率性については、「施設利用率」が昨年と比較して増加しているため、引き続き有明海流域別下水道整備総合計画に基づき有明海の水質保全に努め、処理場の非効率性の有無を確認していく。
老朽化の状況について
(下水道管渠)昭和40年代に布設した陶管については更正を行っているが、残る管渠は対応年数は経過していないものの、老朽化が進んでいるものがある。(汚水処理施設・雨水ポンプ場施設)機械・電気設備において、対応年数を経過したものがある。(今後の対応)有形固定資産減価償却率は昨年と比較すると増加傾向にあり、施設の健全度や重要度を考慮した効果的な点検・調査を実施し、安全性を確保するための適切な維持修繕・改築など計画的かつ効率的な施設管理を行う必要がある。そのため、平成29年度より雨水台帳の整備を含めたストックマネジメント計画の策定を予定している。
全体総括
当市の下水道事業は建設から維持管理の時代へ移行し、多くの施設で更新の時期を控えている。更新には多額の費用が必要となり、経営に大きな影響を及ぼすと考えられる。(今後の取組)ストックマネジメント計画の策定に併せ、財務諸表の分析を進め、適切な管理による下水道サービスの維持、ライフサイクルコストの最小化、さらには、予算の平準化を目的とした経営戦略を策定する。