経営の健全性・効率性について
○「経営の健全性」を示す指標収益的収支比率は、料金収入や一般会計からの繰入金等の総収益で、総費用に企業債償還金を加えた費用をどの程度賄えているかを表する指標です。処理施設建設や管渠築造等の集中的な整備により、普及率は平成22年度52.8%から平成27年度93.8%と大きく拡大しました。その結果、料金収入が増えたことに伴い、その割合は改善されてきているものの、依然100%を下回っており、今後確実に増え続ける企業債返還額や修繕費などの維持管理費が増えることが見込まれることを見据えて改善策を検討する必要があると考えられます。企業債残高対事業規模比率は、料金収入に対する企業債残高の割合です。平成27年度は、出納整理期間のない打切決算による決算額のため、前年度と比較して比率は上昇していますが、料金収入の増に伴い低下傾向にあります。本格的な整備から間もないことから、類似団体と比較して平均値を大きく上回っており、今後の償還額の負担は大きいものとなっています。○「経営の効率性」を示す指標経費回収率は、使用料で回収すべき経費に対し使用料でどの程度賄えているかを表する指標です。前年度より改善はされているものの、依然100%を下回っている状況です。汚水処理原価は、有収水量1㎥あたりの汚水処理に要した費用を表した指標です。供用開始から間もない区域が多く、処理原価は高い数値を示していましたが、接続件数の増に比例して有収水量が増え続けていることにより、類似団体の平均値とほぼ同水準となっています。施設利用率は、処理施設の稼動状況を表すものです。類似団体の平均値を上回っており、効率的な利用ができているものと判断されます。水洗化率は、処理区域内人口のうち、下水処理をしている人口の割合です。供用開始後間もないこともあり、類似団体の平均値からは大きく下回っています。
老朽化の状況について
○耐用年数を迎える管渠は、大型団地の開発に伴うものが対象で、管路調査を経て計画的な更新事業を実施することとしています。
全体総括
○公共下水道事業は、末端管渠が整備されてから水洗化されるまで期間を要します。整備事業はほぼ完了しており、今後の料金収入増は一定期間見込まれるものの、整備に伴う企業債償還の負担も大きくなります。将来世代の負担増大を踏まえながら、下水道使用料の適正水準の検討や効率的な維持管理、計画的な管渠整備を行うとともに、料金収入の増や公共用水域の水質保全の観点から、水洗化率を100%に近づくよう常に継続的な普及啓発活動を行う必要があります。