経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、単年度収支が黒字となる100%との差が依然として大きいうえに、27年度は前年度に比べ悪化しており、今まで以上に、収入の増加、支出の減少に取り組む必要がある。企業債残高対事業規模比率については、類似団体と同程度の水準で推移しており、過大な投資をしていることも、必要な投資を抑制していることもなく、債務残高は適正な水準にあると考えられる。経費回収率については、使用料で回収すべき経費の77%しか使用料で賄えておらず、また、数値は悪化傾向にあり、類似団体との差も開いており、適切な料金水準とは言えない。汚水処理原価については、類似団体の平均値を上回っている。27年度の数値が上昇しているのは、汚水資本費が増加しているためである。施設利用率については、類似団体の平均値を上回っており効率良く施設を利用していると言える。27年度の数値が低下しているのは、三島浄化センターの最終沈澱池が5池から6池に増加したためである。水洗化率については、類似団体の平均値を上回って推移している。ただ最近は低下傾向にあり、水洗化の普及を促進する取り組みが必要である。
老朽化の状況について
管渠改善率については、類似団体の平均値を上回っているが極めて低い水準にある。これは、まだ管渠の本格的な更新時期を迎えていないためである。下水管渠の耐用年数は50年と定められているが、当市下水道事業の開始からの経過年数は約44年であり、そのため小幅な改善率で推移している。将来的には管渠改善率は上昇するものと考えられる。なお、処理場施設は、築36年以上経過しているため、改築及び耐震化工事の検討が必要であるが、運転用の機械・電気設備については、耐用年数を考慮し、長寿命化計画を立て、随時改築工事を行っており、概ね更新が終わっている。
全体総括
当市の下水道事業については、これまで適切な規模の投資を続けてきた結果、施設を効率よく利用できており、また水洗化も順調に進んできていると言える。しかし、収益性の面では問題があると言わざるをえない。使用料収入が充分でなく、不足分は一般会計からの繰入金に頼っている状態である。今後、管渠の更新時期を迎え改築費の増大も見込まれる。これについては、ストックマネジメント計画を策定し、コストの最小化を目指すことになるが、更新の財源として地方債を起こした場合、その元利償還金は収支を圧迫することになる。継続して経費節減や有収水量の増加に努め、収支改善を図ることが必要であるが、経営の健全性を高めるためには、使用料の改定も視野に置く必要があると考えられる。