経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、改善傾向にあるものの、約92%と単年度収支は赤字である。④企業債残高対事業規模比率は、近年大規模な建設改良工事を行っていないため、類似団体平均値より低い。⑤経費回収率は、100%を超えており、汚水処理費用を使用料収入で賄えている状態であるが、年々汚水処理費用が増加しているため、経費回収率は減少傾向にある。⑥汚水処理原価は、有収水量が伸び悩んでいるのに対し、汚水処理費用は増えているため、年々増加しているが、類似団体平均値と比べると低く抑えられている。⑦施設利用率は、類似団体平均値に比べ低い利用状況であるが、本市の浄化センター(終末処理場)は、雨水と汚水を下水として処理する合流区域から流入する異常降水時の初期降雨の一時貯留池として、施設を有効利用している。⑧水洗化率は、100%に近い数字である。引き続き安定した使用料収入の確保のため、未水洗化家屋の水洗化促進に努める。下水道整備の進捗率や人口減少等の社会情勢を考えると、今後、使用料の大幅な増収は見込めないことから、水洗化促進活動や維持管理費の抑制等の経営努力を行いながら、必要に応じて適正な使用料水準の検討も必要である。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、丸亀処理区において、供用開始から40年程度が経過しており、創成期に布設された沿岸部の下水道管は、老朽化が著しくこれまでも更生工事等を行ってきた。また、平成25・26年度で、長寿命化計画の策定業務に取り組み、平成27年度に計画を策定した。今後、管渠更正による長寿命化工事を計画的に行うよう努める。浄化センター及びポンプ場についても、供用開始から40年程度が経過しており、老朽化が著しく、機能低下が発生していることから、平成25年度に長寿命化計画を策定し、平成26年度から長寿命化工事に着手している。平成28年度からは、浄化センターの再構築に着手し、計画的に改築・更新に努めている。これらの状況から、企業債残高も増えることが予想されるため、長寿命化工事は計画に基づき、事業費の平準化に努める。
全体総括
下水道整備の進捗率や人口減少等の社会情勢を考えると、今後、使用料の大幅な増収が見込めない。更に、老朽化した管渠等の長寿命化工事や施設の再構築に伴い、企業債の償還残高が増加する見込みである。こうしたことから、健全な下水道事業の実施には、継続した水洗化促進活動、長寿命化事業費の平準化、維持管理費の抑制等、経営改善に努めるともに、将来の施設更新費用等を見通した適正な使用料水準の検討も必要である。