経営の健全性・効率性について
節水等による年間有収水量の減少に加え、施設維持管理に係る汚水処理費の増加により汚水処理原価が高くなったことで、経費回収率が低くなり経営の効率性が低下している。しかしながら、類似団体と比べ優位で健全である。収益的収支比率については、企業債償還金額の減少や経営の合理化により上昇しているものの、依然、経営費用における企業債償還金の割合は高いものとなっている。なお、企業債残高対事業規模比率については更新投資が増加しているものの減少に転じており、今後も合理化・効率性を図り、更新コストの合理的縮減に努めながら企業債の抑制に努める必要がある。
老朽化の状況について
昭和56年度に下水道を供用開始してから30年以上が経過し、下水処理場や汚水管渠が老朽化している。平成21年度に下水道施設に係る長寿命化計画を策定し、処理場、ポンプ場の耐震化や施設の更新等の整備を順次行っている。管渠についてはストックマネジメント計画を早急に策定して、施設と併せて更新コストの合理的縮減にも努めながら計画的な改築・維持管理を行っていくことが課題である。
全体総括
下水道整備に併せて水洗化を積極的に促進してきた結果、水洗化率は99%に達しており、公共用水域の水質保全や使用料収入の向上が図れている。施設利用率についても、全国平均や類似団体と比べ比較的優位である。なお、市内において区画整理事業が進行中で事業の進捗に伴い施設利用率は上昇していく見込みである。経費の回収率については、維持管理に係る修繕の増加により汚水処理原価が高くなり昨年度と比較して下がっているため、施設更新等の実施が急務である。しかしながら、更新投資については合理的な縮減に努めながら計画的な改築・維持管理を行っていく必要がある。また、償還すべき企業債残高は高額で、経営費用のうち地方債償還金が占める割合も依然高いため、低金利の借換債を発行することで償還額を抑え、さらには建設コストの縮減に努め、必要に応じて整備計画の見直し等も行いながら企業債の抑制に努める必要がある。以上を踏まえ、更なる経営健全化に取り組むためには、経営戦略の策定作業を早期に進めなければならない。