経営の健全性・効率性について
平成26年度まで毎年わずかながら損失が発生し、平成25年度末で117万円余の累積欠損金を計上していた。平成26年度からの会計基準の見直しに伴う、長期前受金戻入の発生により、平成26年度に一時的に累積欠損金が解消されたが、例年通り損失が発生する状況は変わらず、平成27年度の累積欠損比率は295.79%となっている。経常収支比率は70%を超えてはいるものの、経費回収率では20%前後と低く、使用料で経費を回収できておらず、一般会計からの繰入金で補てんしている状況である。流動比率は、借入資本金制度の廃止に伴い、1年以内に償還する企業債が流動負債へ計上されたことにより、平成26年度から極端に下がったものの、平成27年度で2099.05%と短期の支払能力である100%を維持している。汚水処理原価は、減価償却費と支払利息の減により年々減少傾向にあるが、建設から20年近くが経過し、施設の老朽化が進む中、今後の更新による汚水処理原価の上昇が考えられる。施設利用率は、人口減少や節水機器の普及等の社会情勢の変化により、人口や処理水量について、計画値と現状に乖離が発生し20%台で推移しており、処理能力に余剰が生じている。水洗化率は、平成27年度において、類似団体平均値を若干下回る83.33%となっている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、みなし償却制度の廃止に伴い、平成26年度から若干の増加となった。平成27年度の50.66%を管渠と処理場別に有形固定資産減価償却率を見ると、管渠は約30%、処理場は約75%で、処理場の機械設備は管渠より法定耐用年数が短い分、老朽化が進んでいる。管渠は法定耐用年数に達していないため、管渠老朽化率、管渠改善率はともに0%となっている。
全体総括
小規模集合排水処理事業は、処理場が1箇所で地理的条件等から公共下水道への統合が難しく、単独で維持していくことが想定される。平成9年度の供用開始から20年が経過しようとし、今後、処理場の設備等の更新を迎える。水洗化人口が40人前後で使用料収入が限られる中、内部留保資金を活用しながら、適切な施設の維持管理に努めていく。