山梨市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

令和元年度決算では、経常収支比率が「98.24%」となり、昨年に引き続き100%を下回る赤字決算となった。これは減価償却費が増加したことが主な要因と考えられる。累積欠損金比率「0.00%」、流動比率「715.22%」は昨年同様に良好な数値を示しており、支払い能力について問題は見られない。企業債残高対給水収益比率「456.25%」は、平成29年度以降増加傾向にあり、類似団体と比較しても数値が高い。これは老朽化施設の更新等による企業債残高の増加によるものであり、投資規模の検討や適切な料金改定など経営改善を図っていく必要がある。料金回収率「89.40%」は、昨年と比較し減少した。これは給水原価が増加したことが要因であり、今後適切な料金改定や費用削減等の経営改善が必要である。施設利用率「56.95%」は、概ね横ばいで推移しており、類似団体の平均値と比較しても高い数値となっている。しかし、今後、人口減少や節水機器の普及による給水量の減少などが見込まれることから、ダウンサイジング、スペックダウンといった施設体制の見直しが必要になることが想定される。有収率「70.21%」は、緩やかな減少傾向にあり、類似団体の平均値と比較しても数値は低い。これは管路経年化率が影響しており、適切な管路更新を行い、経営効率の改善を図っていく必要がある。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率「43.41%」は、増加傾向にあるが、管路経年化率「25.30%」は、概ね横ばい傾向にあるが、類似団体の平均値と比較した場合、数値は高く、管路の老朽化は深刻と言える。管路更新率「0.92%」は、増加傾向にあり、類似団体よりも高い数値となっているが、管路経年化率は未だに高い数値を示していることから、老朽管の適宜更新が必要である。

全体総括

経常収支比率・料金回収率の低下や、給水原価の増加など経営の悪化が見られる。要因としては、経常収益の緩やかな減少もあるが、経常費用の増加が大きく、今後は適切な料金改定による収益の確保とともに、施設体制の見直しや、コストダウンや有収率の向上を図り費用を抑えていくことで、経営を改善していく必要がある。