地域において担っている役割
新生児に対する高度医療をはじめとして、一般の医療機関では対応困難な小児疾患の診療を行う小児専門医療機関である。平成28年度に新病院へ移転し、隣接するさいたま赤十字病院と連携することで総合周産期母子医療センターの指定を受けている。また、小児救命救急センター、小児がん拠点病院などの指定を受けているなど、幅広い高度・専門医療を提供している。平成30年度には災害拠点病院に指定され、災害時の医療拠点の役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は総合周産期母子医療センターなど高度医療提供に係る負担金交付金が措置されたため改善した。②医業収支比率は平成28年度の新病院のオープン後大きな変動はない。③累積欠損金比率は新病院建設の影響で平成27年度から大きく増加している。新病院の機能をフルに発揮し収支均衡に努める。④病床利用率はNICUにおける入院患者数の減少等により低下した。⑤⑥患者1人1日当たり収益は、新病院移転後に救急患者や重症患者の受入れが増えたことにより上昇している。⑦職員給与費対医業収益比率は、医業収益の低下に伴い上昇した。⑧材料費対医業収益比率は、診療材料の使用量の減少等に伴い低下した。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平成28年度に病院を新築したこともあり、類似病院平均よりも比率は低くなっている。②器械備品減価償却率は、新病院オープン時に購入した備品の償却が進んでおり、比率は上昇している。③1床当たり有形固定資産は、平成28年度に新病院への移転の影響で新旧病院の資産が計上され、大きく増加した。平成30年度は、旧病院の資産の除却に伴い、減少した。医療機器は高度・専門医療の提供に要する備品であるが、数年後の更新時期に備えて十分な医業収益を確保していく必要がある。
全体総括
新病院に移転後、さいたま赤十字病院と連携して総合周産期母子医療センターとして運営し、重篤な新生児の受入れに尽力している。小児がん拠点病院にも指定されており、関東全域の小児がん診療の向上にも貢献している。新たな取組として生体肝移植体制とCAR-T療法の整備を進めている。また、移転後の新病院では入院・外来患者数とも増加しており、PICU/HCUと一般病床との連携により効率的なベッドコントロールを行っている。今後は重症患者の集中化が進むと予測されていることから、第3次医療機関としての役割・機能を維持していく必要がある。