地域において担っている役割
田川医療圏において、特に死亡率が高いと言われているがんや心疾患に対する高度・専門医療を提供しているほか、全国的に地方で不足している救急医療や周産期・小児医療についても必要人員の確保を図り、地域が必要とする医療が提供できるよう体制の整備を行っています。急性期の地域中核病院として、災害拠点病院や感染症指定医療機関の指定を受けており、求められている機能と役割が果たせるよう、体制の整備を行っています。令和3年度は感染症指定医療機関、また重点医療機関として、新型コロナウイルス感染症患者の入院医療を提供してきました。
経営の健全性・効率性について
①及び③の数値は平均値よりも良好ですが、令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症に関する補助金が交付されたことによるものです。また②の数値は、令和2年度以降、感染症の影響による患者数の減少及び診療の縮小により大きく悪化していますが、令和3年度については前年度から若干改善しています。休床病床を抱えており、④の病床利用率が低い水準で常態化していること、⑤や⑥の1人当たりの収益が平均値よりも低いこと、⑦の比率も令和3年度は医業収益が回復していないことから依然高く、今後改善すべき点も多くあります。また感染症が終息した後の収益の回復が重要であると考えています。地域が必要とする医療の提供と共に、患者数と医業収益の確保により収益性を高めるなど、経営状態を改善させなければ、すぐにでも赤字へと転じる恐れがある厳しい経営状況にあると分析しています。
老朽化の状況について
①の比率は平均を上回っており、数値からは他病院よりも所有資産が老朽化している結果となりますが、病院本体の建物や施設、構築物が固定資産に占める割合が非常に高く、減価償却費も同様に高額となるため、この結果となったもので、この指標だけを見て建替え等の検討をすべきではないと考えています。(病院は平成10年度の新設で、22年しか経過していない。)また、②の機械備品も平均より若干高い数値となっていますが、経営状況を勘案しながら、一定程度の耐用年数の超過を許容した上で機器の更新を行うようにしていますので、今後もこのような傾向になるものと考えています。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の影響は依然として非常に大きく、患者数や医業収益の回復は遅れており、病院経営には大きな痛手ですが、一方で感染症医療に対する補助金の交付なども継続しており、黒字経営を保つことができています。医師確保に苦慮していることに加え、公立病院として、不採算医療(周産期・小児医療など)を提供していることもあり、経営状態の安定化には非常に難しい状況は続いています。感染症の影響が続く厳しい状況ではありますが、感染症指定医療機関として感染症医療に重点を置きつつ、感染症の終息を見据え、終息後は地域の中核病院として、良好な経営状態を保ち、最良かつ最善の医療を提供するため、不断の努力を続けて行きたいと考えています。