地域において担っている役割
当院は、病院の基本理念である「温かな心のこもった医療」の提供に努め、西三河南部西医療圏に属する中核病院として、地域における二次救急医療機関の役割を担っている。令和3年度も依然として新型コロナウイルス感染症が蔓延する中で、当院は協力医療機関として、保健所から要請のあった中等症・軽症の入院患者を受け入れた。また、新型コロナウイルス感染症のワクチンの個別接種を令和3年5月から開始し、令和3年度は延べ5,872回の接種を行い、ワクチン接種の促進に努めた。
経営の健全性・効率性について
令和3年度は新型コロナウイルス感染症の一時的な収束等があり、入院、外来ともに患者数が増加し医業収益が前年度比15パーセントほど増加したため、④病床利用率は前年度比7.1パーセント、②医業収支比率は前年度比7.8パーセントの上昇となった。また、新型コロナウイルス感染症に関する診療報酬上の特例措置によって、⑥外来患者1人1日当たり収益は前年度に引き続き増加した。また、一般会計からの基準外繰入金300,000千円、新型コロナウイルス感染症関連の補助金の受入れによって医業外収益が前年度比18パーセントほど増加したため、①経常収支比率も101.1パーセントと100パーセントを上回った。なお、一般会計からの基準外繰入金の受入れが令和8年度で終了することや新型コロナウイルス感染症関連の補助金が臨時的な措置であることを踏まえると、更なる②医業収支比率の改善が必要である。令和4年度開始の病棟改修工事によって入院患者の療養環境を向上させ、④病床利用率を引き上げることに重点を置き、医業収益の増加に努めていく。また、全国的な電気料金の高騰による経費の増加等苦しい状況が続くが、令和4年度も引き続き費用の削減に取り組んでいく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は前年度比2.5パーセントの上昇となっており、これは建物の減価償却が進んでいることが主な要因である。また、器械備品の帳簿価格は令和3年度末で5,567,727千円余と前年度末に比べ72,800千円余減少しており、②器械備品減価償却率の上昇につながっている。このように建物等の老朽化が進んでいる中で、令和4年度から病棟改修工事を開始した。この病棟改修工事によって入院患者の療養環境を向上させることができる。加えて、①有形固定資産減価償却率の低下が見込め、建物の長寿命化を図ることもできる。一方で、③1床当たりの有形固定資産は63,573千円余と類似病院平均値を上回っており、新規の投資を行う際は過大にならないよう十分に配慮する必要がある。
全体総括
経営の健全化を目指し、前年度に引き続き令和3年度も医業収益の増加に努めた。近隣医科大学の医局への訪問には、病院幹部職員だけでなく、市長、副市長等の市幹部職員も参加した。結果として、令和3年度末の常勤医師数は前年度末に比べ4名増加し56名となった。令和4年度においてもこの取組みは継続していく。また、将来的な医師確保を見据え、令和4年度に向け新たに研修医(医科)5名を受け入れた。当院が平成29年3月に策定した新公立病院改革プランは令和3年3月をもって期間が終了している。令和4年3月に総務省から公立病院経営強化ガイドラインが示されたため、当院としても令和4年度中に公立病院経営強化プランを策定する予定である。