地域において担っている役割
地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院(国指定)としての役割のほか、市唯一の公立病院として、救急医療、小児・周産期医療、災害医療などの政策医療を担っている。また、糖尿病、心臓病、脳卒中などの生活習慣病への医療ニーズが高まっていることから、市保健所等と連携しながら急性期医療を提供している。さらに、新型コロナウイルス感染症に対しても、市保健所等の関係機関と連携し、受入れ病床確保や検査体制の整備、ワクチン接種など、公立病院として積極的に取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症への対応を最優先で進めたため、入院患者が減少し、医業収益は伸び悩んだが、最大106床をコロナ専用病床として確保したため、病床確保補助金などの医業外収益が大幅に増加し、3年ぶりの黒字決算となった。ただし、新型コロナウイルス感染患者受入れ病床確保のため、不急な手術などを控えざるを得ない状況であったことから、入院患者は減少したが、看護体制の充実や、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ、検査や診断、治療を積極的に行ったことで、入院及び外来の患者1日1人あたりの診療単価はともに増加した。
老朽化の状況について
平成16年に現在の場所に病院を移転しており、有形固定資産減価償却率は高くなってきているが、令和元年度から計画的に大規模修繕等を実施している。また、器械備品減価償却率については、医療機器の更新に優先順位を付けて順次更新しているため、平均値を下回っている。なお、1床当たり有形固定資産については、免震構造を採用した施設の建築コストや高度医療を提供するための積極的な設備投資により、類似病院平均値及び全国平均を上回っている。
全体総括
公立病院として最優先で新型コロナウイルスの感染症対応に取り組むとともに、医療機能の向上と健全経営の維持に努めたことで、3年ぶりに黒字決算となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が今後も続くなか、公立病院として市保健所と連携し、感染症対応に積極的に取り組むとともに、収益の確保とコスト縮減の徹底等により、一定水準の資金を確保できる経営を進めていく必要があると考えている。