地域において担っている役割
一般急性期・地域包括ケア・回復期リハビリテーション・医療療養型・緩和ケアを有す、八ヶ岳西麓の救急医療の拠点的な役割を担うケアミックス病院。さらに附帯事業として訪問リハビリ、訪問看護を展開し、令和5年4月から診療所群を経営移譲され、地域に根ざした医療・介護を提供できる体制。入院から退院、退院後の在宅生活への医療・介護の提供を行うことで、救急から在宅までを診ていくことができる諏訪圏~八ヶ岳西麓の医療を支える中核的な総合病院。
経営の健全性・効率性について
②医業収支比率については令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行し、入院患者数の増加により前年度より2.2%の増となった。④病床利用率についても前年度より5.1%の増となった。患者単価に関しては⑤入院については年々上がってきており、⑥外来については診療所群も含んでの数値であり下がっている。医業収益が増加したことにより、職員給与費および材料費は増加したものの、⑦職員給与費対医業収益比率は前年度より0.9%改善し、⑧材料費対医業収支比率については前年度より0.9%減少した。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は47.5%で前年度より2.3%の増加。大きな固定資産の取得は予定していないため今後も微増もしくは横ばいの予定。②器械備品減価償却率は57.1%で前年より1.3%増加。器械備品における老朽化度合においても進んでいない。複数年の購入計画をもとに平準化した取得を行うことにより今後も微増もしくは横ばいの予定。③1床当たり有形固定資産については平均より低く、適正に有形固定資産への投資が行われているといえる。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類から5類に移行したが、未だその影響を大きく受けている。特に外来患者数は、コロナ禍により不要不急での受診控えに加え、かかりつけ医受診など受療行動の変容と少子高齢化による人口減少が重なり、コロナ禍以前の水準まで回復する兆しが見られない。このような状況を踏まえ、総務省の「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」に基づき、見直しを行い、令和5年度~9年度までの経営強化プランを新たに策定。また、令和5年4月からは、診療所群を経営移譲され運営にあたっている。収益については、外来患者数の確保が見込めない一方で、入院については、コロナの確保病床が前年度と比較し大幅に減った分、一般の入院患者の受け入れが増え、前年度に比べて医業収益は増加となった。費用については、定期昇給や超過勤務手当を含む人件費の増加により、前年度を上回る費用増加となった。コロナ病床確保料の補助金が、疑いを含むコロナ陽性患者の減少により、前年度と比較すると大幅な減収とはなったが黒字を計上。令和6年4月から「医師の働き方改革」で医師の時間外労働の上限規制が適用開始となり、医師一人ひとりの健康を守ることを最優先に、医療従事者の働き方改革(業務効率化、タスクシフト、多職種協働によるチーム医療など)を推進するとともに、医療DXを推進することで、職員の業務負担軽減や患者サービスの向上を目指す。また、この地域の医療を守るためにも、新たな地域医療構想の検討課題として、効率的な地域連携の拡充とともに、地域の医療機関の役割分担とその連携強化が今まで以上に重要になると考える。