地域において担っている役割
奈良県地域医療構想の中で設定されている4疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病)3事業(救急・周産期・小児救急)について、奈良医療圏の急性期病院としての役割を担っている。また、各種指定病院としては、臨床研修医の受入やへき地医療支援機構の要請に基づく医師等の派遣等を行っているほか、奈良県が実施する産婦人科・小児科の救急医療における病院群輪番体制に参加している。また、新型コロナウイルス感染症の重点医療機関・協力医療機関の指定を受け、体制整備を行うとともに病床確保及び患者受入要請に対応している。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、令和元年度は100%を上回っていたが、令和2年度・令和3年度は100%を下回った。医業収支比率は、類似病院平均よりやや高く、累積欠損金は15%を切り,類似病院平均と比べて非常に低い。病床利用率は、75%を超え、類似病院平均を上回っている。入院患者1人1日当たり収益は、患者数は減少したが、入院料等が伸びたため令和3年度は前年度を上回り類似病院平均を上回っている。外来患者1人1日当たり収益は患者数の増加とともに、増加傾向にあり、類似病院平均を上回っている。職員給与費対医業収益比率は類似病院平均より低いが、材料費対医業収益比率は、類似病院平均を上回っている。
老朽化の状況について
平成22~26年度まで病院の建替事業を行っており、平成25年1月に新病棟での診療を開始、平成26年7月にフルオープンした。そのため、有形固定資産減価償却率は類似病院平均と比べて低くなっている。なお、器械備品の更新は指定管理者が行っている。
全体総括
平成25年1月に新病棟での診療開始以降、順次診療体制を整え、現在の稼働病床は347床となっており、紹介・逆紹介を推進するとともに入退院支援を強化し、病床利用率のさらなる向上を目指している。現在は、新型コロナウイルス感染症の影響をうけながらも比較的安定的な経営状態を維持しているが、今後、病院建替のために借り入れた企業債の元金償還が順次始まるため、返済のための資金を確保することも必要となる。また、令和3年度の入院患者1人1日当たり収益は類似病院平均値の1.23倍と地域医療支援病院としての役割を果たせているが、材料費対医業収益比率が類似病院平均の1.32倍、前年度の1.25倍に比べて悪化しているため効率的調達方法等が必要である。今後も継続して健全・効率的な運営について、市と指定管理者で協議・検討していく。