地域において担っている役割
・奈良県地域がん診療連携支援病院としての専門的な医療の提供・在宅医療を担う地域医療機関の後方支援病院・災害拠点病院として被災者の受入れ及び被災地へのDMATの派遣・新型コロナウイルス感染症重点医療機関
経営の健全性・効率性について
令和2年度と比較し、医業収支比率・経常収支比率ともに向上し、平成26年度に発生した累積欠損金は令和3年度に解消することとなった。病床利用率は平均値より上回っているが、入院・外来患者1人1日当たり収益は、ともに平均値と比較すると依然低い状態である。費用面では、職員給与費対医業収益比率が令和2年度と比較し低下したが、平均値より高くなっている。また、材料費対医業収益比率は平均値より低いが、引続き購入価格と購入個数の適正化に取り組む必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が平均値より大きいのは耐用年数が5年から10年と比較的短い医療器械と器械備品に投資しているためである。1床当たり有形固定資産が平均値より低いのは施設への投資をしていないことが原因と考えられる。施設(西館)の老朽化が進んでいるので、病院の建替を含めた将来的な計画を作成しているところである。
全体総括
令和3年度も令和2年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が大きい1年であった。しかし、入院・外来患者ともに令和2年度と比較し増加しており、コロナ禍前の患者数に戻りつつある。今後も地域の医療機関からの紹介件数と救急車搬送患者受入件数を増やすことに注力し、安定した患者数確保に努めたい。費用面では、直近3年間をみると、人件費が増加傾向である。医師の働き方改革に対応するためタスク・シフト/シェアに更に取り組むこと、また人員配置が要件となる新たな加算を申請することで、より多くの職員を採用する必要があると推測される。今後は職員給与費対医業収益比率により注視しつつ、経営の効率化と経営基盤の強化を図り、施設面の改善を速やかに実施したい。