地域において担っている役割
富士宮地域においては唯一の高度医療機関として、救急医療、急性期医療、周産期医療を支える状況にある。市内開業医の分娩業務中止により、医療機関としての分娩を扱う施設は市内で当院のみであるため、周産期医療を担う役割は非常に大きくなった。新型コロナウイルス感染症協力医療機関として、陽性患者等の受け入れ病床の確保、PCR検査、集団ワクチン接種・個別ワクチン接種に対応し、地域医療における重要な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
医師確保により診療体制が安定したことで、患者数の増加、手術件数の増加、機能評価係数の上昇、新たな加算取得等に繋がった。また、周産期医療における役割が増し、分娩件数の増加やそれらに係る患者が増加した。これらの要因により医業収益が増収となった。一方で、職員給与費や材料費も上昇したため、医業収支比率は前年度より下落した。コロナ関連補助金や一般会計からの繰出金により経常収支では黒字化を果たした。病床利用率は昨年度より上昇したが平均値を下回っており低調が続いている。コロナ患者受入れのための病床確保の影響もあるが、今後病床利用率の向上を図ることが経営改善に繋がると考えられる。
老朽化の状況について
病院本館は建設から30年以上経過しており、一部老朽化が見られるが、長寿命化対策を図っている。器械備品についても、耐用年数を超えたものについては、延命措置を行い使用しているものが多く、有形固定資産減価償却率は平均を上回るものとなっている。器械備品原価償却率については、新規購入や更新した器機が多い年は平均を下回り、耐用年数間近やそれを超えて使用しているものが多くなると平均を上回る状況となっている。なお、1床当たり有形固定資産については、平均を下回っているため、他病院と比較して過剰な投資はないと分析する。
全体総括
医師確保対策の成果により診療体制が安定したことで、コロナ禍でありながらも、昨年度よりも更に医業収益の増収となった。当院が地域における救急医療、高度医療、周産期医療や採算性のない特殊医療を担う役割は益々高まっている。今後も公立病院としての役割を果たすと同時に健全な経営となるよう引き続き医師確保対策に取組み、診療体制を安定化させる。また、職員配置に見合う収益の確保や材料費や経費の見直しなどを行い、医業収支の改善に努めていく。