地域において担っている役割
大田二次医療圏の中核病院として、圏域の急性期機能を維持しながら、大田医療圏域外の病院や市立病院での急性期治療を終えた住民が、大田医療圏域内で回復期医療が受けられるよう回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟において回復期医療を提供。また、訪問看護事業や、訪問リハビリ事業等の在宅医療の役割も担っている。その他、小児医療や周産期医療の提供も引き続き行っている。また、国民健康保険法に基づき設置されている診療所への医師派遣を令和2年度から開始、地域医療への支援を行っている。
経営の健全性・効率性について
令和3年度は、入院収益は減収となったものの、外来収益は外来患者数増加により増収となり、医業収益は増収を確保した。また、一方、医業費用は、新病院に係る償却開始による減価償却費の増、薬品費の増による材料費の増等により増額となった。医業収益の増額を上回る医業費用の増額となったものの、国県補助金増による医業外収益の増により、純損失から純利益に転じた。純利益に転じたことや非現金支出である減価償却費が多かったことから、減価償却前等収支については令和2年度に続いて黒字となった。累積欠損金比率については、外来患者数増による医業収益増収の結果、前年度から改善が図られた。
老朽化の状況について
令和元年度に新病院建物本体が竣工、合わせて医療機器整備を行った。令和2年5月に新病院開院、その後旧施設解体、駐車場外構整備を行い、令和2年度から2ヵ年リハビリ公園整備を行い、一連の新病院建設事業は完了した。そのため資産の老朽化度合を示す有形固定資産減価償却率は類似病院と比べると低い値となっている。ただし、1床当たり有形固定資産は令和2年度に続いて平均値より高い傾向である。新病院建設事業を終え、施設への大規模な投資を行う予定は当面ないが、医療機器等の設備整備は、整備の必要性等を踏まえ計画的に整備していく。
全体総括
経営状況については、国県補助金の増等により減価償却前等収支が2年連続で黒字となったものの、材料費や光熱水費など経費の増、新病院建設事業による元利償還などの影響を踏まえると引き続き資金を安定的に確保することが課題となっている。令和3年度には院内における行動計画や、経営改善目標数値を定めた経営改善計画を策定し、経営改善に向けた具体的な取組みを進めている。また、令和4年度には経営強化プランを策定する予定であり、引き続き安定的な経営基盤確立に向けた取組みを進めていく。