経営の健全性・効率性について
「⑤経費回収率」において,平成22年度の経費回収率は52.29%であり,一度に不足額を解消するのは困難なため,段階的に分けた下水道使用料の引上げを平成23年度に行い,併せて効率的な事務執行と経費節減等に努めてまいりました。平成27年度の経費回収率は88.42%(前年比6.59ポイント増)となり,経営状況は以前より改善されましたが,維持管理費を下水道使用料で賄えておらず,一般会計からの繰入金で賄っている状況です。「①収益的収支比率」においても,雨水処理負担金の収益が平成27年度より増加したことや,料金収入増加,維持管理費の節減に伴い上昇しましたが,未だ利子を賄えていない状況です。「⑥汚水処理原価」において,平成27年度は利用者の増加に伴う有収水量の増加や維持管理費の節減等の理由から,前年度より減少し,類似団体と比較しても低い数値となっています。今後は,平成28年度の下水道使用料改定により,公共と特環が5年間で不足すると見込まれた約7億9,800万円を解消し,一層の経営効率化を図り経費の節減に努めると共に,安定的な財源の確保に努めてまいります。
老朽化の状況について
公共下水道事業を開始して約40年が経過することから,経年劣化の進行している下水道施設の維持管理費の増大や更新需要の発生が予測されます。特に,下水道整備の進展に伴い,中継ポンプ場を構成する施設・設備の数は膨大であり,下水道施設の老朽化等に起因した事故が発生した場合,事後的な対応では市民生活に大きな支障が出るだけでなくコスト的にも不経済となります。今後は,下水道施設における予防保全的な維持管理と平成28年度からの長寿命化対策の実施により,設備が使用限界値に達する前に機能回復を図り,耐用年数の延伸とライフサイクルコストの最小化を図ってまいります。
全体総括
下水道事業は,大規模な先行投資が必要なことから,市の財政運営に与える影響は大きいものがあります。さらに今後は,人口減少に伴う使用料収入の減少や施設の本格的な更新時期の到来を踏まえ,下水道事業をめぐる経営環境は益々厳しくなることが見込まれます。このため,未普及地域においては,地域の特性に応じた最適な事業手法を選択し,計画的かつ効率的な整備を行なうと共に,事業の経営に当たっては,人口減少や将来の需要予測等を踏まえ,投資及び維持管理の両面にわたって徹底した効率化・合理化に取り組んでまいります。