経営の健全性・効率性について
収益的収支比率の指標が71.74であり,地方債償還金の財源として資本費平準化債,特別措置分等の特殊な地方債を充当している。将来的には特殊な地方債の発行可能額の減少が見込まれているので,維持管理費等の更なる経費削減に努める必要がある。企業債残高対事業規模比率の指標が375.83であり,類似団体と比較しても低い。その要因として企業債残高を増やさない範囲での整備方針としていることが考えられる。しかし,将来的に施設の老朽化が見込まれているので,更新費用の財源確保が必要になる。経費回収率の指標が118.97であり,類似団体と比較しても高い。その要因として繰入基準に基づく経費については一般会計が負担していることが考えられる。しかし,将来的に維持管理費等の増加が見込まれているので,繰出基準以外の経費を下水道使用料で賄えない場合は下水道使用料の適正化を図る必要がある。施設利用率の指標が85.44であり,類似団体と比較しても高い。その要因として計画区域内の整備が進んでいることが考えられる。しかし,将来的には処理区域の拡大により処理能力が限界に達することが見込まれているので,施設の増築が必要になる。水洗化率の指標が91.39であり,類似団体と同程度である。その要因として戸別訪問等の水洗化普及対策を実施していることが考えられる。しかし,高齢化などにより水洗化が遅れている地域が残っており,将来的に水洗化率が低い地域の対策が必要になる。
老朽化の状況について
管渠改善率の指標が0.02であり,類似団体と比較して低い。その要因として東日本大震災により被災した管渠の付設替が平成26年度で完了したことが考えられる。しかし,将来的には老朽化した管渠の増加が見込まれているので,計画的な管渠改善が必要になる。
全体総括
維持管理費等の増加により,将来一般会計の負担が増加する場合には汚水処理費の負担を検討する必要があり,経費回収率が低下する可能性がある。さらに,資本費平準化債,特別措置分等の特殊な地方債の発行可能額が減少し,収益的収支比率が低下する可能性がある。一方,企業債残高対事業規模比率は,企業債残高を増やさない範囲での整備方針としているため当面は減少していくことが考えられるが,管渠改善率が低いことを踏まえると,今後は既設の管渠や処理場の老朽化対策が必要となり,その財源を検討する必要がある。これらの指標を上記のように見込み,水洗化率についての今後の向上を目指し,整備については収益性を踏まえて実施した上で,一般会計の負担の増減とのバランスを踏まえながら下水道使用料の適正化を図る必要がある。