経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は改善基調が続いていたが,平成27年度は比率が下降に転じている。要因は,平成17年度発行の資本費平準化債が最終年度一括償還を迎えたことによる臨時的なものである。総費用は前年から減少しており,地方債償還金から一括償還分を除き再計算すると,比率は72.8%となるため,経常的な収益的収支比率は依然として改善基調にあると言える。これは,繰上償還による利子負担軽減などの歳出削減や水道料金との賦課徴収一元化といった組織の効率化など経営健全化の取組を継続的に実施してきた成果と考えられる。④企業債残高対事業規模比率は,償還の進捗,使用料収入などの営業収益の増収により減少している。今後も,起債の適正管理に努めるとともに,使用料収入の増収を図る。⑤経費回収率は,引き続き100%以上を確保しており,類似団体を上回っているが,分流式下水道等に要する経費など一般会計の繰入に頼った構造であるため,収支両面から繰入額の圧縮に努める。⑥汚水処理原価は,分子である汚水処理費用が増加傾向であるが,分母である有収水量も前年度から増加したため,同水準で推移している。⑧水洗化率は,住宅・都市整備公団(現UR)によるニュータウン開発などの先行投資により引上げられ,類似団体を上回っている。市施行区域の接続促進を継続的に行い,水洗化率のさらなる向上に努める。
老朽化の状況について
③管渠改善率は,これまでカメラ調査等に基づく部分補修を進めていたが,改善率に反映されるスパン単位の改築・更新工事は平成27年度から着手したため,今のところ改善率は算出されない。すでに,改築・更新工事の基となる長寿命化計画を策定しており,今後工事を順次進めていくため,改善率は緩やかに上昇していく見通しである。
全体総括
これまで,繰上償還による利子負担軽減や上水道料金との賦課徴収一元化といった組織の効率化など経営健全化の取組を継続的に実施してきた結果,経営指標は類似団体を上回っている。本市の下水道事業は,市街化区域の整備は概ね完了しており,今後,老朽施設の改築・更新などを含む維持管理へのウエイトが高まり,管渠改善率を適正に上げる取組が重要と考えられる。取組の一環として,平成32年度からの企業会計導入に向け移行作業に取り組んでいるところであり,資産の把握に裏打ちされた適時適切な改築計画や長期的な経営計画を構築していく。また,水洗化率の向上などによる有収水量の確保等,使用料収入の増収に努め,継続して経営健全化を推進していく。