経営の健全性・効率性について
平成24年度から実施し、供用4年目の事業である。浄化槽の設置工事費は、基準額の3分の1が国庫補助金、10分の1が工事負担金であり、残りを企業債や一般会計繰入金が占める。初期投資費用である浄化槽排水管整備は、企業債で100%を占めており、完了する予定の平成38年度頃までは、大きく依存しなければならない。平成24年度については、年度の後半に使用開始した浄化槽がほとんどであったため、料金収入が少なく経費回収率は全国平均を大きく下回った。今後については、使用料収入について一定の伸びが見込まれる。しかしながら、保守点検清掃料や法定検査手数料に加えて全国的には経費が少ないと思われる土地改良区排水路使用料及び申請手数料などの維持管理費が必要であり、全国平均を下回る経費回収率で推移する見込みである。
老朽化の状況について
浄化槽の耐用年数は30年程度なので、事業で整備した合併処理浄化槽は、平成54年以降に新しい浄化槽に切り替える必要があると思われる。浄化槽排水管は、50年の耐用年数となっており平成74年以降に対応することになる。
全体総括
市町村設置型合併処理浄化槽の整備は、河川など公共用水域の水質保全や生活環境の向上を目的としている。事業は、合併処理浄化槽を整備するほど一般会計繰入金や企業債に依存する額が多くなる構造になっている。経費の削減対策としてPFI方式の導入が考えられるが、事業を開始して4年しか経っておらず、安易に民間に委託する事業方針に変換することはできない。また、経費回収率を上げる方法として使用料金の値上げが考えられが、下水道使用料との兼ね合いもあり、よほどの物価上昇がない限り不可能である。今後については、整備費用の圧縮などにより経費を削減するしかないと思われる。