経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」は平成25年度から下降しているが、要因は維持管理費の増加と使用料の減少である。平成27年度は維持管理費が増加した分を一般会計繰入金に全て依存することになったため「収益的収支比率」がわずかに上昇している。現在の経営状況としては、使用料では維持管理費の6割程度しか賄えず、残りと公債費全額は一般会計繰入金に依存している。合併処理浄化槽を設置した場合は使用料の増加よりも維持管理費の増加の方が大きいため、浄化槽整備により基数が増えればその分、「汚水処理原価」が増加し、「経費回収率」が下降して行く傾向にある。平成23年度と25年度、及び27年度は公債費の全てを一般会計繰入金に依存することになったため、資本費に係る汚水処理費がなくなったことにより「企業債残高対事業規模比率」は0(ゼロ)になるという特殊な傾向となっている。「施設利用率」は、平成26年度まで20%台と低い比率になっていたが、平成27年度に合併処理浄化槽の処理能力を実態に合うよう見直した結果、類似団体とほぼ同率になるまで上昇している。平成23年度から26年度までを見直し後の処理能力で算出したうえで各年度の「施設利用率」を比較すると、人口減少や世帯分離などにより、合併処理浄化槽1基当りの使用人数が年々減少しており、それに比例して施設の利用率についても下降傾向にある。
老朽化の状況について
公共下水道と農業集落排水の区域以外を対象に平成11年度から整備を行っており、古いものでは設置後17年が経過している。現在のところ、合併浄化槽については大きな不具合等は生じていないが、中山間地域の空家等の増加により、浄化槽の休止など稼働率が下降傾向にある。高齢化率が高く将来人口も大きく減少が予想される中で、今後は施設の老朽化が進む傾向にある。
全体総括
浄化槽整備に伴い使用料よりも維持管理費の増加の方が多いため、今後もさらなる費用の削減を図る必要性はあるとはいえ、それでも使用料で賄えない維持管理費と公債費については一般会計繰入金に依存しなければならない状況が続くと見込まれる。平成29年度から地方公営企業法を適用する予定であるが、事業単位ではなく下水道事業全体でのさらなる経営改善に努めるため、法適用企業として策定する経営戦略に、施設利用率の改善につながる戦略的要素をどれだけ盛り込んで行くことができるのかが重要になってくる。