経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、平成23年度以降では東日本大震災の影響もあり低下しているが、震災以前より当該指標が100%未満であることから、単年度の収支が赤字であることが示されている。平成30年度より地方公営企業法の適用を予定しており、固定資産台帳等のより精度の高い財務諸表を基にしたコスト計算や経営分析による適切な経営計画を策定する必要がある。企業債残高対事業規模比率は、概ね類似団体平均並みであるが、将来的に事業当初に整備した管渠等の老朽化による改修・布設替による企業債借入の増加が見込まれることから計画的整備が課題となってくる。経費回収率及び汚水処理原価は、東日本大震災の影響から平成23年度以降の数値は類似団体平均よりも大きく下回って(上回って)いる。復旧・復興事業の終了後には、当該指標を震災前の数値へ回復するよう財源の確保及び費用削減に努める必要がある。水洗化率は、類似団体平均よりも上回っておりほぼ100%に近い数値となっているが、適切な汚水処理及び使用料収入の増加を図るため、更なる接続促進に努める。
老朽化の状況について
公共下水道事業については、昭和47年より建設に着手し、昭和60年1月1日より共用開始している。平成35年以降から、当初に建設した老朽化した管渠の改築更新によるコストが増大することが見込まれることや人口減少社会の到来による使用料収入の減額が想定される状況で、下水道施設全体を俯瞰して将来にわたる改築需要を勘案しつつ、維持管理・改築・修繕の一体的な最適化を図る長寿命化計画を策定し、持続的な下水道事業運営を確保していく予定である。
全体総括
現状では、一般会計からの繰入金額が大きいことから、公営企業の継続独立採算制の原則に基づいて自立性をもって事業を継続していくよう、地方公営企業法の適用により経営状況の適格な把握及び下水道資産の適切な管理を図り、中長期的な経営計画の策定を必要とする。