経営の健全性・効率性について
本町の水道事業は、平成29年4月から簡易水道事業を廃止して上水道事業に統合し事業を実施しているほか、令和元年6月から合併前の旧町村単位の水道料金を一本化し、経営改善を図ることとしている。本町の施設利用率が32.49%と低い原因は、H29年度から簡易水道事業を上水事業に統合し安定的に水道水の供給が可能な広域的水道管路としたためである。また、本町は人口密度が低く、各地区が分散していることら管路整備等の投資が高額となり、減価償却や企業債利子償還金も高額となっていることから、今後の施設更新等では給水人口減少等を見据え、施設の統廃合やダウンサイジングを実施する必要があることを示唆している。料金回収率が50%台で推移し、給水に係る費用が一般会計からの繰出金など給水収益以外の収入で賄われていることから、今後、町民の理解も深めながら適正な水道料金とするように水道料金の見直しが必要な状況にある。
老朽化の状況について
本町の水道施設の多くは平成元年から平成22年度にかけて管路更新を実施していることから管路経年化率は平均値と比較し低い状況にある。しかし、町内の水道施設の中には、建設後55年が経過しいる浄水場があるほか、機械設備等は耐用年数が短く、既に耐用年数が経過した機器の割合が7割を超えており、長寿命化対策や更新投資の進め方が課題となっている。なお、本比較分析表に反映されていない平成27年度の「管路経年化の状況」の当該数値は、「5.74」である。
全体総括
本町は、人口密度が低く水道を利用する世帯が分散していることから膨大な管路延長を整備する必要があり管路整備の投資額が高額であったことから投資費(減価償却費及び企業債利子償還金)が高額であり、給水原価を押し上げた結果、供給単価との差が大きく料金回収率を引き下げており、国や町一般会計から多額の財政支援を受けている状況にある。施設利用率が低い状況等については、事業の効率性を改善する余地があることを示しており、今後、給水区域間の水融通や施設のダウンサイジング、長寿命化の取組を進めるとともに、これらに必要な財源の確保に向けて水道料金の改定を実施し持続可能な水道事業の経営を行っていく必要がある。