経営の健全性・効率性について
集落が広範囲に分散しているため、三つの処理施設を設置していることから、維持管理や整備に係る費用が大きなものとなっている。新築住宅の建設や、生活環境の近代化により、ほとんどの世帯が集落排水に接続しているが、支出を賄えるだけの戸数にはなく、一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない経営が続いている。近年においては、令和元年度に料金改定を行い、経営改善の努力を行っている。未だ非水洗化である世帯については、水洗化の利便性や効果は理解しながらも、老朽家屋に居住し、家屋の設備に投資する金銭的余裕がない高齢世帯が多いため、今後、集落排水に接続する可能性は低い。また、新築住宅の建設は断続的であり、年間を通じても少ない件数である。これらのことから、料金収入の大幅な増加は見込めない現状にある。維持管理費については、稼働に必要な最低限の業務項目のみを委託するなど、すでに費用の削減に努めており、これ以上の削減は困難である。施設整備については、これまで大きな整備は行っていないが、各施設とも設置後15年以上が経過しているため、今後の施設整備は不可欠であり、これに伴う支出の増加が見込まれる。料金収入の面では、一定期間で料金設定の見直しを図り、必要に応じて改定を行ってきている。現在の料金設定は平均よりやや高い水準にあると思われるが、健全経営のための財源としては不十分であり、さらなる料金改定は必須である。
老朽化の状況について
いずれの施設も、これまで大きな整備を行ってきていないが、設置後15年以上を経過し、設備の老朽化や、監視システムの旧式化などの問題が発生し始めており、今後の施設整備は不可欠である。なかでも、設置後24年が経過した浜鬼志別地区漁業集落排水施設は、村内の集落排水施設の中核を担う重要な施設であることから、国庫補助による施設整備事業を行い、令和6年度の整備完了を目指しているところである。
全体総括
処理施設の整備が大きな課題であるが、一度に全ての施設を整備することは不可能であることから、機能診断等により優先順位を付し、計画的に施設整備を行う必要がある。実施にあたっては、本村の費用負担を軽減できる事業による実施が望ましい。料金収入については、住民負担の増は免れず、令和元年度に増額改定を行ったが、急激な負担増を避けるため、一定程度の増額に留まっている。今後も、定期的に料金体系を見直し、計画的な料金改定を行うとともに、住民への周知を徹底し、深い理解を得る必要がある。本村のような広域かつ小人口の自治体では、独立採算制による経営を行うことは極めて困難であるが、少しでも一般会計繰入金を縮減し、より健全な経営を行うことが重要であると考える。