経営の健全性・効率性について
使用料収入や他会計負担金等で維持管理費や支払利息等が賄えているため、経常収支比率は100%以上であるが、使用料収入は減少しており類似団体の平均値より低率になっている。累積欠損金はなく赤字ではないが、年度末の現金を含む未収金総額は、翌年度に支払いが発生する起債償還額を含む未払い金総額の20%を割り込んでおり、類似団体と比較しても資金繰りはかなり厳しい状況にある。平成26年度までは、企業債残高対事業規模比率においては、類似団体と比較してもほぼ差異はなかったが、平成27年度は類似団体と比較して、投資規模が少ない結果となっている。使用料収入による維持管理費の回収状況は維持管理費の節減により類似団体の平均値よりも経費回収率は上回り、汚水処理原価は下回る数値となっている。経営の健全性・効率性について、流動比率が極端に低いため、資金を増やす必要がある。毎年度の起債償還額を現年度の損益勘定留保資金と利益剰余金の減債積立金で賄うことができるよう改善しなければならない。※⑦施設利用率について、一部事務組合の石狩川流域下水道組合で汚水処理しているため数値はない。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率…類似団体と比較して、新設から年数経過が進んでいる資産は少ない。②管渠老朽化率…類似団体と比較し、耐用年数を超えた管渠は少なく、老朽化率は低い。③管渠改善率…耐用年数を超えた管渠が少なく、管渠改善率は低い。法定耐用年数に迫っている管渠が少ないため、管渠老朽化率、管渠改善率は低い数値であり、類似団体と比較しても、老朽化率は低い状況にある。しかし、有形固定資産の減価償却の状況について、経年を見ると有形固定資産減価償却率が増加傾向にあり、今後は耐用年数を超える管渠が大幅に迎える時期が訪れることとなる。このため、長寿命化等の取り組みを踏まえた投資計画を行う必要がある。
全体総括
人口減少・節水型社会による有収水量の減に伴う、使用料収入の減少傾向が進行する中、下水道管渠が一斉に耐用年数を迎えることで、管渠の修繕や更新経費の増加が将来見込まれる。今後は、下水道事業の在り方を整理し、適正な維持管理や再投資の費用額を見込み、現行の使用料収入で回収が可能な費用額を推計し、回収できない費用分が発生した場合には、下水道使用料の見直しを検討することが必要となってくる。